鍼灸師の不安と孤独はどうしたら解消できるのか

新ノウハウに飛びつく心理

鍼灸業界の裏側で繰り広げられる技術セミナーに経営セミナー。最近も「1秒で…」という文字が強調された技術ノウハウのDMが院に届きました。年々加熱するキャッチコピー。

新しい技術が紹介されれば振り向き、新しい経営ノウハウが目に付けば飛びついてしまう。熱心に情報収集しているつもりが、端から見たら情報に振り回されているなんてこと、あると思います。

最近では、私がそういう情報を提供する側に回っているので、誰かを振り回しているかもしれません。責任を感じながら情報発信をしています。あまり意識すると何も書けなくなるので、ほどほどに。

次から次へと新しいものを求めてしまう。

この心理の正体はいったい何なのでしょうか…。

「アンテナを張っている」という言い回しがあります。そのほとんどは前向きな意味で使われているようですが、前向きな意味ばかりではないと思うのです。

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私の場合、不安だからアンテナを張ってしまうのです。新しい情報に接し続けていないと不安な気持ちが収まらないのです。

自分だけが取り残されてしまうことが怖いのです。常に孤独になることを恐れているのです。周りを見ずに「自分が一番!」と思い込むのも才能かもしれませんが、私はそういうタイプではありません。謙虚と言えば謙虚ですが、自信がないのです。

開業すると、自分一人の力がどれだけ小さいかに気が付きます。仕事は、誰かに何かを提供しているようでいて、誰かの力を借り続けています。孤独になったら事業は“おしまい”です。経営者はみんな知っています。

だから、どれだけ自分に足りないものを他者(他社)から借りられるかが勝負だと思っています。そういう気持ちが年々強くなり組織づくりに力を入れています。

お金と孤独感

誰かと一緒にいても、孤独感から逃れることはできません。

私が独立して思ったのは、お金で誰かの能力を買うと孤独感が漂います。お金を介した関係、お金で買った関係だと思うからだと思います。取引が増えるほど孤独感も増えるのです。

お金だけでつながっていると感じた瞬間に空しさに襲われます。

学生の頃や勤務している頃はお金の関係を感じることはありませんでした。気持ちで繋がっている感覚に対して素直でした。

ブランコ

お金でつながる関係は社会の基盤です。プロの仕事はお金で価値を評価しなければいけませんし、それがもっとも公平な関係なのでしょう。社員に対しても同じように考えています。最終的にはお金で評価しなければなりません。

ただ、公平を求めすぎると孤独感が待っているような気がしてなりません。公平というのは「みんなと同じように扱われる」ということです。裏返せば、誰からも特別扱いされないという意味になります。

みな「自分を特別扱いしてほしい」と望んでいるものです。公平な社会や組織を望みながら、いっぽうで特別に扱われることを望んでいるのです。そういう矛盾を含めて人間だと思います。

孤独が一番のリスク

セミナー事業に関わって7年。たくさんの同業者と関わってきました。そして、今もたくさんの同業者とお付き合いがあります。始めた頃と比べると、事業に対する意識がだいぶ変わったように思います。最初は夢中で、代金を裏切らないように、それだけを考えていました。

次の段階として、「向上心」をくすぐるように考えるようになり、そして今、人と人をつなぐ事業であることを強く意識するようになりました。

もともと、橋本と立ち上げた活法研究会は「鍼灸師の横の繋がりを大事にする」というコンセプトですから、原点回帰です。

誰にとっても、どんな立場であっても、孤独が一番のリスクだと思うのです。

ネズミの綱渡り

開業も孤独な仕事です。派手な仕事など何一つなく、誰からも気が付かれない地味な作業を繰り返すばかりです。いくらやっても、患者さんが集まらなければ廃業です。

しかも、その不安は人に話しづらいのです。

家族は心配させたくないですし、友人にはプライドがあって泣き言を言えません。孤独になる条件がそろっているのです。その孤独を乗り越えたものだけが、事業主として生き残っていくのだと思います。体の健康も大事ですが、心の健康も同じくらい大事です。

仲間づくりのコスト

友達と仕事仲間は作り方が根本的に違うと思います。仕事の間柄というのは、相手の(稼げるはずの)時間を頂くので、相手の時間をお金で買うことになります。その時に費用が発生しないとしても、互いに費用を出し合って差し引きでゼロと考えるのが正しいように思います。

友達は、趣味や遊びを共有するわけですから、互いに時間に対するコストを意識することはありません。細かいことを言えば、自分の時間を自分で買っているわけです。

 仕事で会うとき=相手の時間を買う
 遊びで会うとき=自分の時間を買う

実際はこんなにキレイに分けられません。少なくとも私は仕事を楽しんでいるので区別しにくいです。時間を忘れて仕事に没頭していると、仕事とはいえ時間の概念が希薄になり、時間に対するコスト意識がなくなっていきます。

仕事を楽しんでいる者同士が集まっても、コスト意識が薄くなっていきます。これは、時間のコストを自己負担している状態です。

仲間は時間を共有する相手です。その時間は「時は金なり」という言葉があるようにタダではありません。このように考えると、仲間をタダで手に入れることはできません。仲間をお金で買うって意味ではありません。仲間と共有する時間をお金で買えるって意味です。

仕事とプライベートの境界線

セミナーに集まる参加者は仕事の関係です。でも、次第にその関係が変わっていきます。まるで友達同士のように仲良くなってしまうのです。

プロとして技術を習得するからには、お金になるかが大事です。でも、いったんお金に変わると分かってしまえば、あとは楽しんだ者勝ちかもしれません。少なくとも私はそういう感覚です。仕事は楽しめるほど良いと思っています。

しかし、医療者という立場では「楽しむ」とは言いにくいものです。「○○で困っている患者様のために・・・」という表現をすることを求められていると思います。

でも、モチベーションはそこではないのです。活法や鍼灸をやる理由が初めにあるわけです。それは、つまり「活法だからできること」、「鍼灸だからできること」がモチベーションだということです。そのモチベーションが、そもそもプライベートなものです。

仕事の間柄であっても、真に迫っていくとプライベートな領域に入ってしまいます。これを意図的にやったのが活法合宿です。

仕事の関係を越えた活法合宿 in 伊東

先月、活法研究会で「合宿」なるものを実施したのです。会員さんが20名ほど集まって伊東(静岡県)で一泊してきました。

東京から伊東まで約2時間

この企画は会員さん同士の親睦が目的です。仕事とプライベートと間を狙ったものです。だから今回は儲けなしで決行しました。

日頃のセミナーでは、仕事の関係が前提です。懇親会だけでは仕事の顔は外れません。そこを外したいと思ったのです。

みんなストレートには言わないですが、どこかに孤独感を抱えています。一歩踏み込んだことを求めているように感じました。実際に、家族や趣味の話で盛り上がりました。

合宿をやって得た結論は「孤独や不安を解消するには仲間が大事」だということです。どんなに書籍やDVDで情報を得たとしても、孤独や不安は解消されないのです。DMが送られてきても、大事なのはその内容ではなく、その先でどんな仲間と出会えるかだろうと思います。

私の中で「仲間づくり」が今後もテーマになっていきそうです。

この映像の中には自前のドローンを使用して撮影したものが含まれています。私自身、この合宿にプライベートを持ち込んでいます。趣味に付き合わせて悪いかな~という気持ちもありましたが、持って行ってよかったと思っています。そういうところも含めて、クリ助なのですから。

活法研究会のブログには、合宿の詳しい様子を書いています。
活法合宿(前編)
活法合宿(後編)

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