ピアノのムシ
ピアノとは縁がない私ですが、ピアノの漫画とは深い縁があります。
『ピアノのムシ』の作者、荒川三喜夫と幼馴染みだからです。

ひいき目になっているかもしれませんが、それを差し引いてもこの漫画は面白いです。
主人公はピアノの調律師、蛭田(ひるた)。
調律師の腕は天才的なのに、言いたいことをそのまま口に出してしまう性格なので、お客さんとトラブルが絶えないのです。
私が思うこの漫画の魅力は、ピアノにまつわるマニアックなエピソードです。読み進めていくうちに、ピアノにどんどん詳しくなっていきます。エピソードは誇張されてはいますが、綿密な取材に基づいて描かれているので、まったくデタラメもありません。ピアノに全く興味のない私のような者でも、引き込まれてしまいます。
調律師という職業が魅力的に描かれています。調律師の苦労は鍼灸師と重なる部分が多く、他人事ではありません。
調律師が「調律」という仕事の価値をお客さんに理解してもらおうと一生懸命であるように、鍼灸師も「鍼灸」という仕事の価値を患者さんに理解してもらおうと一生懸命です。ぜったいに話が合うと思います。
調律師が売っているもの
調律師は修理もしますが、最終的にはピアノの持つ最高の音を引き出すことです。どんなにがんばってもピアノの持つ力以上のものは引き出せません。ピアノを超えることはできません。鍼灸師も患者さんの治癒力を超えることはできません。最大に引き出すことと考えます。
どちらの職業も、提供するのはモノではなく状態(コンディション)です。
ピアノの調律は音のズレを調整するのは当たり前で、調律の本当の仕事はその先にあります。機械では計れない人間の感性の世界で勝負します。調律の価値を判断するのは、依頼者の感覚です。依頼する側も問われてしまうのが調律の世界です。
主人公の蛭田(ひるた)は、わかっていないお客が大嫌いで、いつも暴言を吐いています。
きっと私の怒られると思います。実際にいたら絶対に会いたくありません(笑)
蛭田が調律したピアノの音が漫画から聞こえて来たとしても、私には違いがわからないと思います。目の前に現実がないからこそ、音の違いがわかる自分を都合よく設定できるのです。ドラマする時も、音の違いを演出するのが難しそうです。
ツボはチューニングピン
人体にあるツボは、ピアノで言えばチューニングピンです。チューニングピンが弦の強さを調整しているように、ツボも筋肉の張力や内臓機能を調整しています。
鍼灸師はツボの微妙な違いを手指を介して読み取って身体のコンディションを読んでいきます。機械では測定できない微妙な違いです。でもその微妙な違いが体調に大きな違いをもたらします。ピアノと同じです。
『ピアノのムシ』で調律の仕事を知ったわけですが、親近感を覚えます。鍼灸師と調律師、とても似ているのです。
もちろん、鍼灸師でない人も楽しめる漫画です。タイトルに書いたように、ドラマ化されたら面白いだろうなと思います。
音楽系の漫画がドラマ化されて印象に残っているのは『のだめカンタービレ』です。面白かったなぁ。今は、専ら『ピアノのムシ』に期待をしていますが、まだ動きがありません。
単行本は11巻までやってきましたが、メジャーかと問われればまだまだだと思います。隠れファンがたくさんいると思うのですが、なかなか表に出てきません。ファンの集いか何かあったら面白いのになぁ。

昨晩は、プライベートで荒川先生(こんなふうに呼んでいませんが…)に制作の裏側をインタビューしました。表に出ない秘話が盛りだくさんで夜中に興奮していたのでした。幼馴染みがこうして漫画家をしているなんて不思議です。そして誇らしいです。
面白いよ!
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