感染リスクが高まる中、鍼灸院はどうすべきか
新型コロナウイルスは、鍼灸院の経営も脅かしています。廃業してしまう鍼灸院は一件二件の話ではないでしょう。特に、東京の家賃は高いので売上が落ち込めば、すぐに払えなくなってしまいます。まさに、私が置かれている状況です。企業努力にも限界があります。
売上のためには、患者さんにたくさん来ていただきたいのですが、今は感染を広げないことが重要なので集客は控えめにしています。難しいのは、新型コロナウイルスとは関係のない症状で悩んだり苦しんでいる患者さんはたくさんいることです。不要不急に当てはまらない事情で通院されている方がたくさんいらっしゃいます。
現状、不要ではないけれど不急だと感じる患者さんはキャンセルされています。院内は気をつけていますが、リスクは往復の移動の中にも潜んでいるので、大丈夫とは言えないのが本音です。しだいに、私の出番もだんだん減ってきています。
地域の差はあります。
群馬の院(養気院)は、3月に入ってから患者さんが増加傾向です。群馬の人が警戒心ゼロで普通に生活していると誤解しないでください。群馬でも緊張感は高まっています。
院内での感染防止対策もスキが生まれないようにしています。手指の消毒はもともと徹底していましたが、気を配るところを増やしました。人が触れる場所はこまめに消毒するようにし、こまめに換気を行っています。清潔指数を毎日更新する勢いです。
群馬は土地に余裕があるため、施設にも十分な広さがあります。院内では患者さんと患者さんの距離を保ちやすいです。また、クルマで通院される方ばかりなので移動中の感染リスクが高くなりません。感染の広がりが緩やかであれば(現時点では感染者ゼロは非現実的だと思われる)、院を続けていくことができます。
東京の感染拡大も早く緩やかになってほしいです。切に願います。私自身が感染を広げることがないよう最大の注意を払って行動します。
やさしい鍼灸師に患者さんが集まるのではないか
この状況は、経営体力がなければ厳しいです。経営努力だけでどうこうなる問題ではありませんので、売上が落ちている仲間に「ちゃんと努力している?」なんて間違っても言えませんし、言われたくもありません。こういう苦しいときに、やさしい言葉を使える人になりたいです。
「優しくなれるほど強くもなくて」という言葉が好きです。
優しさって強さから生まれるという発想がいいんですよね。
今、世界中がピリピリしていて、怒りの矛先をみんな探しています。政治家に怒りをぶつけたり…思い通りにならない気持ちは理解できますが、その尖った言葉をぶつけているのは、一人の人間であることを忘れないでほしいです。あなたの家族だったら同じことが言えますか?
鍼灸師として言います。いろいろな職業や立場の方をお体を診せて頂いていますが、基本はみんな同じです。サンドバッグにしていい人なんてどこにもいませんから。反撃されない安全地帯から攻撃するのはズルいです。
苦しいこの時期の言動が、終息した時の人間関係をつくると思います。もし仕事を失っていたとしても、社会が回復してくれば仕事も復活します。そんなとき、こういう時期に人にやさしくできた人は頼りにされると思うのです。逆に、苦しいときに厳しい言葉を投げかけた人が頼りにされることはありません。
経営者が集まると「集客」の話になることが多いのですが、集客をテクニックやノウハウで語ることが好きではありません。精神論で説明するつもりはないのですが、「頼られる」ことに集約できると思います。でも、ずっと頼りにされると依存されてしまうので、頼りにされたら、頼らなくてもいい存在になるように努めます。
仲間内では「患者さんとよい距離感を保ちましょう」という話がよく出ます。いわゆる「遠すぎず近すぎず」の関係です。私はこれに「頼られて頼られず」を加えて、患者さんとの関係性のイメージを鮮明にしています。
キレイゴトでは生き残れないが、キレイゴトを言い続けた者が生き残れると思う
今をなんとかしなければなりません。鍼灸院の固定費の多くは家賃です。私のように雇用していれば、人件費も固定費です。どちらも削ることができません。売上が十分でなければいつかは資金がショートしてしまうので、経営者としての技量が問われています。
不安はそこだけなので、そこさえクリアできれば安心です。一年間売上が十分でないことを想定してシミュレーションしています。安心できる状態になるように取り組んでいます。運転資金の心配さえなくなれば、来たるべき時に備えて力を蓄えるだけです。
実は、鍼灸院には患者さんがいない時間も必要なのです。いない時間帯は最低2割は必要で、うちの場合はセミナー運営もしているため、3~4割はそちらに費やす必要があります。セミナーが開催できないので、その時間を新しいカリキュラムづくりに使うことができます。
暇がある方が進化させるには好都合です。ピンチとチャンスを繰り返しながら成長することができます。新型コロナは、たくさんの命を奪っているウイルスですから歓迎はできませんが、いろいろな気づきを与えてくれます。
キレイゴトで済まされない状況ですが、こんなときだからキレイゴトを言い続けることが必要なんだと思います。今月は新しいメンバーが二人加わり、育休中のメンバーも復帰します。チーム力が増します。愛されるチームづくりをやっていこうと思います。
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