すでに中止しているセミナーと判断を迫られた鍼灸院
新型コロナウイルスの感染が広がる東京都で鍼灸院を営む身として、院の営業をどうするかは重い課題です。
都内で行っているセミナーに関しては、4月末までの日程はすべて中止と判断し公示していました。「要するものであるが不急である」と判断したからです。待ち望んでいた方が多かったので苦しい決断でした。
本日から東京都が緊急事態宣言の対象エリアとなりました。期間は約1ヶ月間となりそうですから、5月のセミナーも中止をする方向で返金などの処理を進めていきます。

鍼灸院は社会生活を維持する上で必要な施設なのか
鍼灸院の営業についても判断が必要です。緊急事態宣言の出た東京都には鍼「はりきゅうルーム カポス」があります。この営業を続けていくかどうかの判断を迫られました。チームと話し合い、「続けていく」という結論を私は出しました。考える際にあたって「鍼灸院は医療機関なのか」と改めて自問をする必要がありました。
報道によると、次のようにあります。
「社会生活を維持する上で必要な施設」として、病院や薬局、飲食店やホテル、公衆浴場などは、適切な感染防止対策の協力要請を行った上で、開店を認める。
私は「鍼灸院は医療である」という認識のもと、この仕事に従事しています。鍼灸院でかかった費用は医療費控除に使えるいっぽうで、民間療法に分類されるケースが多く、免許をもたない整体師やセラピストと呼ばれる職業と横並びとして扱われることが多いのも実情です。鍼灸師自身も、全員が鍼灸を医業として自覚しているわけではなく、リラクゼーション業、美容業として自覚している者が少なくありません。名称も「鍼灸院」とは限られておらず、「○○サロン」など、まちまちです。
鍼灸師が持つ職業観は多様なため、一つにまとまることは難しいでしょう。ですから、一つ一つの院がそれぞれの判断で決めていくことになります。私は「医療であるならば社会生活を維持する上で必要な施設」であると判断しました。
もちろん、私たち自身の感染に気をつける必要があります。感染しても無症状であれば知らずに感染させてしまう可能性を常に意識しなければなりません。
院が感染ルートになってしまえば、社会的な信用が失われるリスクがあります。印象が悪化し、経営が不利になる可能性があります。社会的な使命感で突っ走ることには相応のリスクが伴います。こうしたことも織り込み済みです。
人によって違う鍼灸院の存在意味
私たち鍼灸師はウイルスや細菌の専門家でも公衆衛生の専門家でもありません。しかし、感染予防という点においては日頃の業務の延長上です。鍼灸院は保健所の管轄下で衛生管理がなされ、法律には施設の要件が明記されていて満たしていないと営業ができません。鍼灸院が感染予防を強化することで、感染リスクを大幅に減らすことができると考えています。もちろん、油断はできません。
あとは、通院されている患者さんの判断です。「今は出ない方がいいので…」と通院を自粛される方もいらっしゃいますし、耐えられないつらさを少しでも軽減しようと通院を続けている方もいらっしゃいます。また、症状によっては放置することが望ましくないものがあります。患者さんが持つ悩みによっても、鍼灸院の存在意味が違ってきます。
この新しいウイルスは誰にとって初めてのことですから、正解が何かなんて誰もわかりません。私も自分の判断が正しいかどうかわかりません。ただ、現状でベストであると思うものを選択していくのみです。状況が刻々と変わるので、私も方針を刻々と変えていきます。明日には違うことを考えているかもしれません。今は一貫性よりも柔軟性であると思います。
明日は明日の風に乗る。
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