好転しない場合は料金を頂きません
そんな宣伝文句が広告に書いてあったそうです。
私の治療院に通う患者さんが、ある民間療法に行って来たときの話です。
患者Mさんが、鍼灸施術中にその時のことを詳しく話してきました。Mさんは「好転しない場合は料金を頂きません」という言葉につられて、そこを選んだらしいのです。
Mさんは、施術を受けても効果があるのかないのかわからない…
そこで「どうなんでしょう?」と私に訊いてきたのです。でも、正直どうなのかわかりませんし、なんて答えていいのかわかりません。
ただ、気になったのが「好転しない場合は料金を頂きません」という文句。これはMさんも気になっていたようです。効果がわからないので、Mさんはお金を返してほしいと思っているようです。でも、勇気がなくて電話をかけられないのです。
「思い切って、かけてみたらどうですか?」
私はMさんに提案してみました。返金を要求したらどうなるのか…興味津々でした。
私が背中を押したので、患者さんは勇気を出して電話をかけたようです。その時のやりとりを再現してみます。
患者Mさん「○○日に治療を受けたMですが、効果がわからないのでお金を返してください。」
療術師「でも、治療した後はよかったんでしょ?」
M「えぇ…、その時はよかった気がしたのですが、やはり効果がわからなくて…」
療「じゃあ、よかったんだね。古いケガでしょ?それは1回では治らないよ。2、3回続けてもらわないと。」
M「ということは、2回目、3回目も料金をお支払いするわけですよね?それでも効果が分からなかった時は料金を返してくれるんですか?」
療「・・・あっ、今仕事中だから、また後で電話して。」
療術師は電話を一方的に切ってしまったそうです。
Mさんはもう一度電話をかける勇気もなくて、その後かけていないそうです。Mさんは、冗談まじりに「代わりにかけてほしい」と私に頼んできましたが、私がかけたら話がおかしくなるだけです。かけるわけにもいきません。
Mさんは療術師に電話をした時に「よかった気がした」と言ってしまったことを後悔していました。もし言わなかったら、どんな対応をされたのでしょう・・・
私は、その療術が本物か偽物であるかには興味がありません。ただ「好転しなかったら料金を頂きません」という宣伝文句にはつっこみを入れたいです。
私は鍼灸師ですが、鍼灸で何でも治せるわけではありません。どんなに優秀な鍼灸家でも100%ということはあり得ません。そもそも医療は100%を保証できるものではありません。1万人診て治らない人が1人でもいれば、100%ではなくなります。また、治る、治らないを厳密に線引きすることもできません。
医療というものが100%ではないのですから、治療家も100%を保証するような表現は慎むべきだと思っています。もちろん、患者さんの苦痛を取り除くためには100%の努力をする責任はあります。
「好転しなかったら料金をいただきません。」という表現は、レストランが「美味しくなかったら代金を頂きません。」と言っているようなものです。美味しくないと思って「代金を払いません」と申し出たら、シェフが「私の作る料理は美味しいはずです。その味をわからないあなたの味覚に問題があります。だから代金はいただきます。」と返してきました。もし、こんなやりとりがあったら、どう思いますか?
レストランに入ったお客さんは、料理がまずくても支払いを拒否できません。医療も同じような前提があって、もし治らない場合でも、患者さんは支払いを拒否できません。でも、そんなことが続いたら、サービスとして成り立ちません。だから、シェフや医療者は味や術に磨きをかけて信用を得ようとしているわけですよね。
「好転しなかったら…」という標榜には無理があります。今回の療術師は厳密にいうと医療者ではありませんが、人の体に施術をする以上、それなりの意識で仕事をしてほしいと思います。
「好転した、好転しない、ということは、誰がどうやって決めるのですか?」
と、私はその療術師に電話をしたいと思っているのですが、あいにく勇気がありません。


コメント
>療「・・・あっ、今仕事中だから、また後で電話して。」
この一言で今回の療術師の人間性が分かります。
患者と電話で話すのも仕事のうちです。患者との話し合いは仕事ではないとでも言うのでしょうか?
それに自分の都合で電話を切るなら、相手に掛けさせる
こと自体誠実さが無いです。
あくまでもこの患者さんの話通りならば、ですが。
民間療法は玉石混交ですが、イカサマ師が多いのも
現実ですからね。
Mさんも「今仕事中だから…」という発言に不信感を感じたようです。この投稿では、Mさんが感じたものをできるだけ忠実に文章にしてみました。
だから、Mさんとの会話は仕事ではないという発想が療術師の中にあったことが伺えます。この話をMさんから聞いた私も療術師の対応には疑問を持ちました。
個人のクリニックに通っています。数年前、転居に伴ってクリニックも変わりました。
以前の先生は診察中は一切の電話を受け付けず(電話は受付の女性が処理していました)、受診中の患者さんに全力投球という印象でした。
現在の先生は、診察中でも電話に出られます。しかもわりと頻繁に電話があります。こちらは予約を入れて受診しているわけですから気にならないといったら嘘になりますね。
診療に臨む姿勢としては以前の先生のほうが好きです。でも、今の先生のお人柄も好きなので転院を考えるには至っていません。いちどその点について進言してみようか迷っているところです。
本筋とずれたコメントで失礼しました。
かーぽんさん、おはようございます。
このようなことは迷わず進言してみては…。
必ず改善の努力はしてくれると思います。
ところで、この先生とは…?(笑い)
岩のほとりより湧き出る、名水清水でした。
> かーぽんさん
鍼灸院の場合、ほとんど個人で経営していることが多いので、治療中に予約の電話を取らなければならない状況が多々あるかと思います。クリニックでも、先生自ら電話を取るところもあるんですね。
施術を受けている方も、電話をかけてくれた方も、患者さんである場合って、対応に困ることが確かにあります。留守電にしていて、後にかけ直す方法をとっている先生もいますね。
現在通院中のクリニックの先生に、素直な気持ちを伝えてみても大丈夫だと思いますよ。澄研さんと同じ意見です。
怪しげな痛くない○○式治療法などで「一回の治療で完全に痛みを取ります」と看板を出している所がありますね。
実際にその根拠となるものがしっかりとあればいいのですが…
大袈裟な表現で苦痛を抱える患者さんを惑わし、国家資格の鍼灸までもがいかがわしいと混乱を招く療術は良くないのでどうにかして欲しいと思いますよ。
> 河童さん
民間療法は社会的に医療ではないために広告制限がありませんよね。だから、それをよいことに、広告が大げさにしているところも確かにありますよね。「そんなこと書いていいの!?」ってビックリする内容もしばしば見かけます。
そもそも、一般の人の多くは民間資格と国家資格を区別していない印象を受けます。患者さんとお話していて、「鍼灸は国家資格ですよ」というと、ビックリすることもありますし、「○○療法は国家資格ではないですよ」と言ってもビックリされることがあります。
民間資格と国家資格の区別がされていない中で鍼灸は広告制限をされているので、不満を持つ鍼灸師も少なくないでしょうね。。私も「どうにかならないかな~」って思うことがあります。
返信有難うございます。
本当に有資格者の広告の制限には困りますね。
ある意味広告していないのは効果がないと勘違いされてしまいますから…
鍼灸を広く受け入れてもらう為には口コミしか現状ではありませんから(泣