「○○(症状名)ですが、鍼灸で治りますか?」
といった問い合わせがよくあります。
問い合わせをされた方は「治りますよ!お任せください!」という返答を期待しているのかもしれません。
でも、私には言えません。
これが一般的な商売なら「うちにお任せください。何でも解決いたしましょう!」と言えるのかもしれませんが、鍼灸は医療です。
医療に100%はありません。
もし100%があるなら、患者さんの「絶対に治りたい」という気持ちと医療者の「絶対に治ってほしい」と思う気持ちではないでしょうか。
生身の体を扱う以上、完璧なことはあり得ません。
そもそも、「治る」「治らない」はあいまいな言葉だと思うのです。
「治る」とは何でしょう…
症状が気にならなくなった時…?
生活ができるようになった時…?
スポーツや仕事のパフォーマンスが回復した時…?
検査で正常の数値が出た時…?
医者が「治りましたよ」と言った時…?
患者さんの価値観でも変わりますし、
医療者の価値観にも左右されるのが「治る」という言葉です。
「治りますか?」と聞かれて、「あなたのいう『治る』って何ですか?」なんて訊くわけにもいきませんよね。
「治ります」という言葉を避けて返答をする私を「自信がないんだろうな」って思う方もいるでしょうね。だからかもしれません。問い合わせをされた方の半分は来院されません。
こういうことを書くと、商売をやっている人から「もったいない」と言われるでしょうね。そんな人に、
「鍼灸は医療であり、ビジネスにあらず。」
と答えれば“キレイゴト”になりますね。鍼灸師で生活ができるのは、患者さんからお金をいただいるからで、その事実も確かなことです。だから、私はビジネスをしていることを否定するつもりもありません。
やはり、医療というビジネスなんです。
医療者という立場で行うビジネスです。
私は、この仕事において医療者という立場が優先されなければならないと思っています。これは「患者さんのため」と思ったことを優先させるという意味です。
問い合わせをされた方が、結果的に私を選ばなくても残念に思いません。患者さんが最善の選択をされたのであれば、それでよいです。
鍼灸は自由診療(一部保険もありますが…)。
そこにはたくさんの自由があります。全額自己負担で受ける治療ですから、患者さんは鍼灸院を真剣に選ぶはずです。相性がよい鍼灸家に出会いたいと心底思っているに違いありません。その自由を尊重するなら、鍼灸師も自分の価値観とスタイルを明確に示すことが大切だと考えます。新患ほしさで「治りますよ!」と答えたなら、患者さんの自由を奪っていることになります。
他の鍼灸師はどんな風に返答しているのだろう…
同業者のことも気にしているクリ助です。
今回は、昨日の問い合わせの対応中に思ったことを、書き綴ってみました。


コメント
難しい質問ですね~。
料理店に例えるとお客さんが電話してきて
「お宅の店の料理はおいしいですか?」
と聞かれるようなもんですからね。
質問自体が失礼な気もしますが、普通は「おいしいですよ!」って笑顔で答えるでしょう。
で、食べてみて「おいしくないじゃん!」と「おいしい!」というパターンになるわけですが。
味を説明しろって言っても無理である。同様に治療の効果を治療前に断定するのは詐欺になるもんね。
患者の心理としては「治ります」って言って欲しいのは理解できますがね。
>ジャッカルさん
よいたとえ話をありがとうございます。
料理店の話と似ているところがありますね。
鍼灸院でも料理店でも、安全性は一番気を付けるところです。鍼灸院の場合には「治りますか?」の中に「大丈夫ですか?」という不安な気持ちがあるような気がしてなりません。
料理店の例でいうと「そちらの料理を食べても大丈夫ですか?」と言われるようなものです。
それだけ鍼灸に期待感を持ちつつ、同時に不安があるのでしょう。身をあずけるのだから、真剣になるのは理解できます。でも、それだけではなく、鍼灸に何となく不安を抱いてる人が多いのだと思います。だから、受診前にそのような質問が…。考えすぎでしょうか。
僕がもし患者側の立場で自分の持つ症状に対する治療法を探しているなら、僕も多分「鍼灸で○○は治りますか?」って尋ねるような気がします。でも僕がもしその言葉を使うとすれば、「完治」するということよりも今の自分の症状に、鍼灸が少なくとも「何らかのプラスな変化」を起こしてくれるかどうかということを意味して言うと思います。鍼灸ってやっぱ一般的には医療とは異なるものと見られがちで、「魔法みたいに不思議と効くもの」って思ってる人が多いような気がします。医者だったら体の悪い所は何でも対処してくれそうな気がするものだけど、鍼灸はそういう「魔法」みたいな捉え方をされてるから特定の対象にしか効かないと思われがちなんじゃないかなと思います。
ちなみに、おかげさまで鍼灸学校の入試に合格できました!
思わず書き込みを。
私も問い合わせをするときは、「治りますか」という言葉を使ってしまうかもしれません。
「対応できますか」くらいの意味で使うと思うのですが、医療者としてはやはり言葉使いには慎重になるのですね。
鍼灸って、何が治療できるのかよくわからないところがあります。だから、「この症状で鍼灸に行って、変に思われないかなあ、笑われないかなあ。」とか思ってしまうところがあります。
言うなれば、外科の症状なのに、内科のお医者さんに頼んでいるのではないかというような不安感があるのです。
「症状を実際に見ていないので、完治という言葉はもちろん使えませんが、鍼灸でそういう症状に対する治療法はちゃんとありますよ。大丈夫です。」くらいのことを言ってもらえたら、患者としては充分な情報は得られたと思うと思います。
自分もうまく表現できなかったのですが
キリ子さんが代弁してくれたと言いますか
ホントその通りの気持ちってありますよ。
参考になりました。
>RideandGoさん
合格おめでとうございます
( ^_^)/▼☆▼\(^_^ )チン♪
>鍼灸ってやっぱ一般的には医療とは異なるものと見
>られがちで、「魔法みたいに不思議と効くもの」っ
>て思ってる人が多いような気がします。
私もそう思います。
特別なものを期待されることは多い気がしますね。西洋医学が中心の医療制度では、東洋医学は医学以外のものに見えてしまうのでしょうか。
>キリ子さん
どんどん“思わず書き込み”してくださいね(笑)
>「症状を実際に見ていないので、完治という言葉は
>もちろん使えませんが、鍼灸でそういう症状に対す
>る治療法はちゃんとありますよ。大丈夫です。」
そうそう、実際はこんな風に答えることが多いですよ。これで納得される方は来院に至るのだと思います。でも、RideandGoさんが指摘されたように“魔法”を期待されている方には、頼りない感じに伝わっているような気がしますね。
“藁(わら)をもすがる思い”で問い合わせをされる方の場合、「診てみないと…」という言い回しをした瞬間にテンションが下がるような気がしています。すごーく、気持ちがわかるのに「絶対治してみせます!」と言ったら無責任になってしまいます。本当に難しいですね。
>ゆうたんさん
鍼灸がまだまだ一般的な治療法として認知されていないからなんでしょうね。
鍼灸の適応範囲が一般の方は判断できないと思います。鍼灸師の私でさえ、“鍼灸の適応範囲”を正確に答えられません。鍼灸師によっても得意な疾患は違いますから。
>みなさん
コメントをいただき、今後の参考になりました。ありがとうございます。鍼灸が“特別視”されないことがブログをやっている目的でもあります。鍼灸が“当たり前”になる日が訪れることを願っています。
しばらく更新が無いので心配しています(>_<;) きっとお忙しいのだろうとお察し致します。。。 また更新を楽しみにしますね。
>ゆうたんさん
すみません。。。
しばらく更新していませんでしたね。
実はお察しの通り忙しいのです(笑)
前回まで「鍼灸院を経営する理由」を連載していましたが、経営の仕事で業務が多忙になっています。でも、ブログも書きたいので、もう少しでアップしますね。
「更新が楽しみ」なんて書いて頂けると、本当に嬉しいです(^-^)
うちにもあります【絶対治りますか?】の質問。
【絶対治ります】と答える時もあります。
それはうちが【絶対診断】を使っているからです。
それをしっかりと患者さんに説明をします。
治療には自力と他力が必要な旨伝えて治す気があるのであれば【絶対治る】と断言します。
患者の感覚とか、あいまいなものではなく絶対基準があるので・・・・・。
料理のように【味覚】といった【感覚】が医療の中には必要なこともあります。それは以前にも言った【センス】の部分で・・・・医療者にとってセンスはやはり大事ですが、でも私達がやっているのは【医学】です。あいまいさだけではやれませんね。
>あおいの姫さん
あおいさんのおっしゃるように、鍼灸も医学である以上は客観性を大切にしなければなりませんよね。
医療のプロとして、客観的判断を患者さんに伝えることは必要だと考えています。ただ、最終的に患者さんが求めているのは、患者さん自身の主観である「快適」な状態です。このあいまいで、相対的な快適状態に導くために、医療者はゆるがない論理に基づき施術するのかなー、と。
ちょっと論点がズレてしまったような。
「絶対診断」に興味があります。私の勉強してきたものはすべて相対的だったので…。