間抜けな鍼灸師

活法を導入してから変わったことがあります。

どうでもいい話。
でも、気になること。

活法を施した患者さんが再びやってきて、こんなことを言われることがあります。

「アレ、うちでやってみましたがうまくいきませんでした。」

活法を自宅で試した結果報告です。

説明しますと、「患者さんが自宅で一人でできるのが活法」ではありません。
一人でできる調整術もありますが、ほとんどは術者が必要です。

さすがに鍼をマネしようとする患者さんはいませんが、手技療法は患者さんがマネすることがあります。

今日も患者さんにこう言われたのです。

「これを家でやっていれば治るんですね」

症状が軽くなった患者さんは、さっそく家でやってみよう、という勢いがついています。

「できませんからっ!」

と、心の中で突っ込みをしてから、
「むずかしい技なので、簡単にはできませんよ」と告げています。

すると、

「そんなはずないよ~」

という疑いの眼差しがやってきます。

一応、一つ一つの技はかなりの練習をこなしています。
プロとして「練習している」という発言はなんだかカッコ悪いですが…。
(練習するのは当たり前ですからね)

活法はマッサージと比較すると簡単そうに見えます。

 触れただけ
 伸ばしただけ
 回しただけ
 捻っただけ
 叩いただけ
 押しただけ
 引いただけ

に見えるのが活法です。
マッサージがネットリなら、活法はアッサリです。
変化する“間”をつかまえて、そこを決めるだけです。

たぶん、料理と同じだと思います。
同じ材料と調味料を使っても、シェフはマネのできない味に仕上げますよね。
火加減やタイミングなど、感覚の世界で差がつくと思います。

「マネできそうだ」と思われてしまう時は、技が未熟なだけです。
無駄な間に素人臭さが入り込むのだと思います。
マネのできない技術に、早く達したいものです。

鍼灸の古典では、「うまいやつは機をまもる」(『黄帝内経霊枢』九鍼十二原篇第一)と説かれています。「機」はタイミングのことです。だから、「できる鍼灸師はタイミングがスゴイよ!」ってことになります。

やっぱり間ですね!

でも、古典には具体的に「こうしなさい、あーしなさい」と書かれているわけではありません。私のような者は困ります。でも、活法を学ぶことで、その意味を少しずつ理解できるようになりました。

野球のバット。
いくら力強く振ってもタイミングがずれていたら空振り。

体は動いています。
患者さんの生命活動にタイミングを合わせないとホームランは打てません。
だから、鍼灸は「あっちのツボがいい」と語って終われなくなってしまうのです。

このブログは終わりそうにありません。

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by群馬の鍼灸院(養気院)

コメント

  1. 隠れ読者 より:

    はじめまして。匿名で失礼します。いつもブログの更新を楽しみにしている一読者です。
    今日は、少し気になったことがありましたのでコメントさせていただきました。
    「うまいやつは機をまもる」とありますが、これは
    『霊枢』九鍼十二原の「粗守関、上守機」のことですよね。
    とすれば、この「機」は「機会」ではなく、「気」ないし「気機」と解するのが一般的だと思うのですが、いかがでしょうか。
    「関」については多少の違いはあるようですが、張介賓や張志聡、本邦の多紀元簡、渋江抽斎らは、いずれも一致しています。それに、前文に「粗守形、上守神」とありますし、また小鍼解に「上守機者、知守気也」と注解されていることから、やはり「機会」と解釈することは難しいように思います。
    僭越ながら意見を述べさせていただきました。

  2. クリ助 より:

    >隠れ読者さん
    とても内容のあるコメントありがとうごじます!!
    本当は隠れないで、お顔を見せてほしいと思います。
    古典をかなり勉強されているとお見受けいたします。
    「上守機」に気が付かれ、小鍼解篇が九鍼十二原篇の解説になっていることをご存じなので「おおっ!」と思いました。
    「やばい、デキル鍼灸師からコメント入った!」と焦りました。
    こんな方から読んで頂けているのは光栄です。
    「機」を「タイミング」と解釈したのには根拠があります。古典をあまり勉強していない私に書く権利があるかわかりませんが、私の論を次の記事にしてみました。
    http://blog.livedoor.jp/yoki/archives/52376666.html
    ハートが熱くなるコメントだったので、また何かございましたらコメントください!よろしくお願いします。

  3. 吉岡 より:

    吉岡と申します。先日、匿名(隠れ読者)で意見を述べた者です。本来であれば、こちらではなく、直接メールで連絡をすべきで、まったく軽率な行動であったと反省しております。ただ、他意はございませんので、名乗らずに物を申すという非礼をどうかお許し下さい。

  4. クリ助 より:

    >吉岡さん
    コメントでOKですよ!全然問題ないです。むしろ、コメントで嬉しかったですよ♪一般の方(患者さん)がわかりやすい東洋医学、オープンな東洋医学を目指しているので、ウェブ上で意見が交錯することはとてもよいことだと思っています。
    この度は勇気をもって身元を明らかにしてくださり、ありがとうございます。 これもまた嬉しいです。吉岡さんのような方に出会えたので、あの記事を書いた介がありました。また、何でも気になることあったら書いてくださいね。食い違う意見であってもかまいません。建設的な議論を交わしたいです。

  5. 吉岡 より:

    ありがとうございます。そういっていただけると救われます。
    以後、よろしくお願いします。

  6. 菊谷恭尚 より:

    鍼灸は、難しい
    そして鍼灸は、儲かるのか?
    鍼灸は、難しいけど、儲かるもんじゃないのか?

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