活法研究会では動画を配信してます。
患者さんの施術風景を流すのが一番リアルですが、そうもいかず今回は自作自演動画です。
以前にも紹介した動画を再び引っ張ってきました。
一見すると鍼灸とは関係のない技のように見えるかもしれません。鍼灸に応用できるポイントはいくつかあります。一つは施術前の可動域チェックです。頚の回旋する具合を左右で比べています。
この動画は、橋本代表がたまたま右回旋時に痛みを訴えていたので、せっかくなら撮影しよういう流れで撮影されたものです。ふざけた態度はそのため(笑)
患者役の橋本代表は右回旋時の違和感を覚え、私も動きがぎこちないことに気がつきます。患者役は左右で視界の限界が違うこともわかります。この時点で、患者役と術者は共通の認識を持つことになります。
患者さんと会って、
「どうされました?」
「頚が痛いです」
「あーそうですか、では頚に鍼しますね。」
と流れていくのと違いが生まれます。
「痛い」と患者さんが訴えても、どういう場面でどこが痛いのか、患者さんは自分の症状を正確に認識しているとは限りません。それは、痛い時は常に痛みを避けながら動いていると同時に、痛い方向に動く瞬間を特別に意識しているものです。痛い時は特別パターンで動いているわけです。それを一旦ニュートラルな位置に戻し、患者さんが認識しやすいように目的に合ったテストを行うのです。
あやふやな症状の認識から施術をスタートすると、どんなによい成果が出ても、患者さんが前後の違いに気がつけないのです。毎日通る通勤路に立っていた建物が突然取り壊されていました。どんな建物が建っていたか、思い出して絵に描けるでしょうか。難しいと思います。でも、「この建物は明日取り壊されます。」と予告しておけば、消えた建物が何であったか即答できます。
次に強調したい点は、術者は患者役に動作を指示して患者役が自分で動いている点です。患者さんが治療に参加してしまっています。患者さんは、受ける人ではありません。患者さんをどんどん巻き込んでいきます。
取り壊される建物も、写真を見せられるのと自分の足で行くのでは、自分で行く方が印象が強くなります。印象が強いということは、後に起こる変化を明確に感じられるということです。
次に、テクニックの理論に少し入ります。
右回旋が痛い場合、伸びているのは左の筋肉です。動きを制限しているのは伸ばされている筋肉だと想定して行うテストが広く伝わっています(鍼灸師の方は想像つくかと思いますが、アレです)。その場合、施術ポイントは左側になります。伸展阻害(※1)が痛みを誘発することは間違いないと思うのですが、経験上その逆もよくあります。
私の経験では、収縮阻害(※2)を起こしている方が治りにくいことが多いです。なかなか治らず慢性化した症状に多いと感じています。そう考えると伸展阻害はメカニズムが単純で浅い症状と言えます。数種類のパターン化されたツボで効果が出やすいのはそのためだと考えてます(収縮阻害ではそう簡単にいかないと思います)。
※1 伸びることができず動きが阻害されること
※2 縮むことができず動きが阻害されること
この動画のテクニックは収縮阻害の方にアプローチできるものです。
この他、活法には収縮阻害にアプローチできる技術が山ほどあります。
動画の動きに戻ります。患者役が、頚を右回旋している時、右後ろの頚と肩の接合部辺りが収縮しています。この収縮しているところをこのテクニックでは緩めています。さらにいうと、一旦右前を緩めその反動で右後まで緩んでいるのです。頚の前後を同時に一瞬で整えてしまうテクニックです。最初につくる手の形や手を引く角度などに秘密があります。
この発想は鍼灸でも用いることができます。伸展阻害にアプローチしても効果が見られない場合、収縮阻害に着目することでツボ選びの幅が広がります。また、手首、肘、肩などの動作と頚の回旋運動の関係を理解すると、発痛部位を遠隔から、たとえば手首や肘などから正確に狙うことも可能です。
寝違いはもちろん、むち打ちなどのしつこい症状に対しても有利に施術を運ぶことができます。活法を学んで飛躍的に進歩したのがむち打ち症状です。
私の中で平穏に暮らしていた施術の常識。それを一瞬で切り裂いてしまったのが活法のテクニックでした。手技療法としての魅力としても十分ですが、鍼灸を施す上での新たな思考パターンを授かったのです。
次は、パフォーマンスとしての活法について・・・(続く)


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