開業して8年目を迎えようとしていますが、振り返れば試行錯誤の日々でした。
小さな鍼灸院ではありますが、いろいろあるものです。
失敗もいろいろのうちです。
大きなミス(医療ミス)は許されませんが、オペレーションの上の失敗は数え切れないほど。
そのうちの一つをこれから。
ある日のことです。
来院されたNさんを施術室に案内し、着替えが終わってから入っていったら、
「前の人の汗でベッドが濡れています」
と言われたのです。その表情からクレームであることがわかりました。
えっ!? そんなはずはないのになぜ?
確かにベッドは湿っています。原因は単純なことで、直前に噴射した消臭スプレーだったとすぐに気が付きました。Nさんには、「消臭スプレーなので大丈夫です」と伝えましたが、私がとっさに考えた言い訳に聞こえたかもしれません。なぜなら、その日を最後に来院されることがなくなったからです。
患者さんが「汗」と思ったなら消臭スプレーであったとしても汗です。
患者さんはその水分によって気持ち悪い思いをしたことは確かなことで、水分の正体が消臭スプレーとわかっても嫌な思いをした記憶は消去されません。
前もって「消臭スプレーを使ったのでベッドの上が湿っています」と伝えていたなら、患者さんを不快な気分にさせることはなかったでしょう。
この事件が起こる前までは、部屋の掃除をしてから最後に消臭スプレーを使っていました。これを気に順番が変わりました。まず消臭スプレー、それから掃除。掃除をしているうちにベッドは乾いてしまいます。
不満を口にされたNさんは勇気のある方だったと思います。Nさんの他にもベッドに汗(消臭スプレー)を感じた方がいらっしゃったはずです。患者さんは思ったことがあってもなかなか口に出しません。関係が悪くなることを嫌って我慢される方が多いと思います。
患者さんはいつも本当のことを語るとは限らない
という意味で思い出に残っていることがあります。
独立間もない1年目の冬のことでした。その頃は出張のみで患者さんを診ていました。
ある出来事により大きなショックを受け、立ち直るまで時間がかかりました。
あの時の患者さんの一言は一生忘れることはないでしょう。
その様子を月刊『医道の日本』(2月号)に書かせていただきました。専門誌なので鍼灸師に限られてしまいますが、お手元にある方は「忘れられない患者の一言」をご覧になってみて下さい。同様のエピソードを以前に書いたことがありますが、視点をズラして原稿を改めました。


コメント
今月の医道の日本を読んで、エピソードは覚えて
いましたが、このブログを読むまでクリ助さんの
署名があることに気付きませんでした。
確かにショックだろうなあと思う話です。
患者とセラピストが完全に同じポジションに立つ
ことは難しく、どうしても患者側にある程度遠慮が入るということを覚えておかないといけないですよね。
>jackalさん
すでに『医道の日本』を読まれたのですか!?
年間購読されているとか?
確かにショックを受けましたが、「今後、あれ以上の挫折はないだろう」と思うことができるので、心が安定するような気もします。そういう意味で経験してよかったと思っています。でも、新人鍼灸師におすすめできる体験ではありません…。