鍼灸が効かない理由

鍼灸って本当に効くんですか?

■鍼灸には効果があるのか・・・

鍼灸は本当に効くのだろうか」という疑問は、鍼灸を受けたことがない人も、受けたことがある人も、抱いていると思います。

鍼灸師という立場でこのテーマに挑むことは、本来ならあり得ません。効果がないという結論なら完全な自己否定です。

「効果がないものを患者さんに施術して代金を頂く」そうであるならば犯罪です。
「鍼灸師=詐欺師」ですよね。しかも、国家認定の詐欺師から。

知人、友人から、「鍼灸って効果があるの?」という質問を受けることがあります。軽い気持ちで訊いているのでしょうが、私にとってはこれ以上ビッグな質問はありません。私自身の存在価値を問われているような気分です(笑)

「鍼灸が効くのかどうか」を知るために、実際に鍼灸を受けた人の話を聞きたい人が多いと思います。「実際はどうなの?」と。鍼灸師は「効果ある」としか答えませんからね。

これから、患者さんの立場で本当のことを書きます。現在は鍼灸師である私ですが、もともとは、鍼灸を受けていた患者でした。患者の立場を忘れてはいません。

結論から書きます。

ある範囲において明らかな効果があります。
その範囲は、症状の重さ鍼灸師の技量によって決まります。

効く場合もあれば、効かない場合もあります。
「鍼灸師なら誰でもすべての症状を解決できる」なんてことはありません。

「鍼灸は効果がありますか?」

という質問は、

「手術は効果がありますか?」

という質問と同列です。

症状の重さ、医師の技量によって、手術の成果は変わりますよね。
鍼灸も同様です。

■鍼灸師のポジション

鍼灸の効果が疑われる本質的な問題は、鍼灸の社会的なポジションに潜んでいると思います。少なくとも日本の医療制度では、鍼灸師の地位は低く設定されています。

鍼灸師の努力が足りないことは認めますが、鍼灸師の責任ばかりでもありません。最初に低く設定され、変えることができぬまま今日に至っています。鍼灸師が生きるには江戸時代まで戻った方がよいのかもしれません(笑)

この「低さ」ことを言い訳にするつもりはありません。
承知で、この職業を選んだのですから。

鍼灸に引き込まれる出来事は16歳の時でした。初めて鍼灸院で「こんな医療があったのかっ!と衝撃を受けたのです。

こんなに素晴らしいものが、なぜ、病院で行われていないのか、なぜ、保険適用されないのか(一部条件付きで適用されています)、意味がわかりませんでした。

こう思う若者がいる一方で、「鍼灸院に行ったが効果がわからない」という人がいるのも事実。

それは、なぜでしょう・・・

■鍼灸師のレベル差

鍼灸師になってわかったことがあります。
鍼灸師の技量は、差があるのです。

レベル1→5」程度の違いではありません。
「レベル1→100」でもありません。

レベル1→∞」です。
いや、「レベル0→∞」が正解だと思います。

鍼灸師として「0」なんて書きたくはありませんが、何もできない鍼灸師はいます。私も無力になることがあります。手強い症状や苦手な症状を目の前にすれば、力が及ばないことがあります。

反対に、何をしても治らなかった症状が劇的に改善するドラマもあります。

鍼灸は、道具です。

料理人の道具に包丁があります。包丁があっても、料理のイロハを知らなければ、ごちそうは作れません。

優れた料理人が、包丁を体の一部のように使いこなすように、優れた鍼灸師は鍼や灸を体の一部のように扱えます。炎の料理人が包丁に魂を込めるように、炎の鍼灸師も鍼と灸に魂を込めます。

調理師免許を持っている料理人の腕が一律ではないように、鍼灸師の腕も一律ではありません。

鍼と灸、道具としてシンプルの極みです。これほど単純な道具が他にあるでしょうか。
だから、否応なく使い手の「(す)」が出ます。

音楽に置き換えてみると、本質が見えてくると思います。

指は同じ10本なのに、ピアノが弾ける人と弾けない人がいますよね。メロディを奏でるのが精一杯の人もいれば、観衆から大喝采を浴びるピアニストも。

「鍼灸は効きますか?」

は、

ピアノの演奏は心に響きますか?

と同じ質問です。

患者さんの心に響く鍼灸ができるかどうか、
鍼灸師の腕は試されているわけです。

■これは、科学なのか芸術なのか

「鍼灸の効果が科学的に説明できない」という理由で鍼灸を否定する学者もいます。「名高いピアニストの演奏に、なぜ心動かされるのか」を説明してから、鍼灸を否定するのが正しい順番だと思います。

優れた演奏で感動するのは、脳が反応し、感情が動いているからですよね。耳から入った情報が、脳をある方向に導いているわけです。

耳と脳が直結しているように、皮膚もまた脳とつながっています。ですから、鍼灸は皮膚を介して脳をある方向に導ているわけです。

脳はまだまだ不思議だらけです。
だから、鍼灸がベールに包まれているのは仕方ありません。

ピアノの演奏を聴いて「ただの音波」と思う人には、鍼灸は「ただの皮膚刺激」かもしれませんが。鍼灸の魅力と価値は、皮膚刺激を超えたところにあります。

鍼灸は芸術性を試されるものだと思います。芸術性を強調しすぎると誤解を生みますが、優れた技を見たとき、よく効く施術が出来たとき、美しいと感じます。

あれはまだ学生の頃でした。

占い師に仕事運を観てもらいました(普段は滅多に占いをしません)。「あなたは医療より芸術家向きの手相をしてますよ」と言われました。それって、つまりは鍼灸師向きの手相だってことですよね(笑)

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