■新しい鍼に興奮しすぎた結果
一部の鍼灸師で盛り上がっている技術があります。古武術鍼法です。
僭越ながら、活法研究会で私が提唱している技術です。全国の鍼灸師に使って頂くために今年から本格的に普及に乗り出しました。三部でまとめ、そのうちの脊柱編、四肢編のセミナーが終わりました。
それぞれA~C日程の3回やりましたので合わせて9日間です。日頃の臨床ペースは下げず、ブログの更新ペースを落としてこちらに力を注いでいました。実した日々を過ごしていたのです。残るは腹背編は年末です。

既に、症例報告や感想が全国の鍼灸師からどんどん寄せられています。詳細は、会員限定のSNSで行っているため一般公開はしておりません。限定されたエリアでは熱い情報交換が始まっているのですが、外はいつも通りです。しかし、最近、そうでもない動きがありました。あるブログが目に入ってきたのです。

その記事は熱すぎです。熱が入りながらも冷静に、古武術鍼法の特徴や将来性について触れています。書いたのは、快気堂鍼灸院(北海道札幌市)の谷地先生です。こんな火傷しそうな文章、私には書けません。古武術鍼法の革新性を説明するために、iPhoneが出てきたり…。恐縮しまくりです。
■知識の寄せ集めは知識の寄せ集めでしかない
覚えたこと、練習したことが、臨床でそのまま役立つわけではありません。そこに気がつかないと、いつまでも上手く行きません。費やしたものが報われるかどうかは、デザインで決まると考えています。
自動車に置き換えてみます。素晴らしいエンジン、素晴らしい車体があるからと言って、売れる車になるわけではありません。実用的な理由であれ、官能的な理由であれ、最終的に消費者の「欲しい」という感情を引き出せなければ売れません。

鍼灸も全く同じだと思います。
解剖学の知識を増やしても、ツボを暗記しても、経文(古典)を丸暗記したとしても、それそのものが“患者さんに”必要とされるわけではありません。患者さんに提供する最終形を意識しながら学んでいる者と、そうでない者の間には埋め合わせができないほどの差が生まれると思います。
難しい話ではなく、「具体的な患者さんに意識を置きながら学べるか」です。患者さんをリアルに意識していれば、必要なデザインは見えてきます。
実際の患者さんのお顔を思い浮かべながら学んでいる人は、どんどんデザインが洗練されていきます。患者さんと接するほどデザインが洗練されていくと考えたいのですが、それを許さない事情にも触れておかなければなりません。
それは、鍼灸の世界には「経絡経穴(けいらくけいけつ)」という強烈なデザインが既に存在しているからです。良くも悪くもインパクトがありすぎて、自由な発想を脅かしています。経絡に異議を唱えることは古典的な鍼灸の世界ではタブーです。ですから、この発言そのものが自分を脅かすことになるかもしれません。
関連記事:「経絡は鍼灸学のオープンソース」月刊「温故知新」vol.10 (2015年03月15日発行)p.18<電子版>
■デザインに正解はない
単刀直入に言えば、経絡経穴学を古典鍼灸の真理として考えるか、一つのデザインであると考えるかの違いなのです。ただそれだけのことですが、デザインという発想を持たず真理追究に走ると、経絡経穴学の正否を議論にするハメになるのです。実に不毛なやりとりです。

デザインに答えも正否はありません。デザインは「対象に向けてふさわしいかどうか」だけです。経絡経穴学には、経絡経穴学にふさわしい対象があるのです。裏返せば、対象はデザインでほぼ決まってしまいます。
7人家族が旅行するなら5人乗りのセダンより、セブンシーターのワンボックスの方がふさわしいのです。もっと極端な話、土砂を運ぶにはダンプカーがベストです。セダンとダンプカーは比較できません。
経絡もある目的のために、誰かが人為的にデザインしたものです。私はそう考えています。ビジュアル的に極めて秀逸なデザインだと思います。見た目だけではなく、実用性を兼ね備えているからこそ支持されてきたわけです。経絡がデザインされた目的は、内臓の調整です。「陽明大腸経」というように、経絡の名前には内臓の名前が添えられているのが、その根拠です。
筋肉のためにデザインされたと思われる「経筋」なるものもありますが、現代に残っている資料から、詳細を知ることはできません。
■古武術鍼法(四肢編)を受講された鍼灸師の感想(1/3)
1本の鍼で劇的に変化することが感動しました。
あと、これを研究されてきたことに本当に感動です。
委中でいろんなところに効く、可動域だけでなく自覚症状がすぐに取れる連動性など理論も考えられていることがすごいです。
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古武術鍼法も前回の脊柱編で腰痛や頚の痛みにかなりの効果が出てきました。今回の四肢編では五十肩や手指のしびれ、下肢や膝の痛みにも対応出来る様なので治療院に帰ってから治療するのが楽しみです。また、これからも続く古武術鍼法のセミナーやまだ入門編しか受けていませんが、その先の基礎編のセミナーも楽しみにしています。
今回、四肢編を受けさせてもらって、2日間ボリュームたっぷりでとても充実した時間を過ごせました。
セミナーをうけながら、使用したいツボと患者さんの顔がどんどん浮かんできてとても楽しかったです。
腹背編も楽しみにしていますのでよろしくお願い致します。
取穴のしやすさは脊柱編より四肢編の方がありました。
しかし、今日受講して脊柱編があるから四肢編があると理解する部分もあり、トータルというかつながりを感じて臨床にあたりたいと思います。
デモを見て、また自分が受けて感じることができたので、早く患者さんに還していきたいと思います。
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つづく…




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