■疲れるのは技術的な問題
どの仕事でも「疲労の回避と回復」は重要なテーマだと思います。疲れなければ、もっと仕事ができるのに、もっと良い仕事ができるのにと思う場面は誰もが思うことです。
鍼灸師として、患者さんの疲労の蓄積したカラダと向き合う毎日を送っています。患者さんと同じように、私たち鍼灸師も疲労は蓄積します。時には、疲労回復やコンディショニングのために、自分で自分の体に鍼や灸をすることもあります。
でも、カラダを扱うプロとして大事だと思うのは、疲労後のケアではありません。疲労しない工夫です。食事、睡眠、運動というありふれた話はやめて、「疲れずに施術する方法」について書きます。
患者さんから、
「1日中やっていると疲れませんか?」
と質問されることもあります。疲れそうな雰囲気が患者さんに伝わってしまったのかもれません。そんな時は、まだまだだなぁ、と思います。
確かに、疲れる時は疲れる仕事だと思います。でも、やり方次第では疲労を回避できます。疲れるのは、技術的な問題です。

■疲れないために必要な6項目
どれだけ施術しても疲れない方法があります。「疲れない技術」というものがあるのです。鍼灸施術は、筋力的な負担はほぼありませんから、肉体への疲労は自らの姿勢によるものです。ですから、まず大事なのが「疲れない姿勢を探すこと」です。
この他にも大事だと思うことがいくつもあいます。
—————————————————————-
1.あまり力を使わない
2.深く考えない
3.シンプルな方法を用いる
4.患者さんと適度な距離感を保つ
5.治そうとしない
6.あきない変化
—————————————————————-
それぞれについて説明します。
1について
ツボを探す時に指に力を入れてグリグリすると疲れます。しっかり押して確かめたい時は、体全体の重みを利用して押すようにしています。指に疲労をためると指先の感覚が鈍くなりますので、鍼灸師は自分の指をいたわることが重要です。
2について
いくら考えても答えが出ないことがあります。「多体問題で考える医療と科学」に書いたように、医療現場は多体問題で埋め尽くされています。考えてわからないことは、さっさと諦めて直感や感覚に任せることも大事です。
3について
手順が複雑な方法を用いると疲れます。同じ結果が出せるのであれば、単純な方法を用いるべきです。最悪なのは、単純に処理できる問題を、知識や技能を駆使しようとする余り、複雑にしてしまうことです。単純なものは単純なまま、複雑なものはできるだけ単純化した方がよいのです。たとえば、患者さんが訴える5つの症状(不眠、過呼吸、耳鳴、不安、肩こり)を「肩甲骨が固まって動いてないから」と考えることは単純化の一つです。
4について
患者さんとの距離が近すぎると疲れます。「親身になる」のは、素晴らしいことですが「親身」という漢字が示すように、本当に親身になれる相手は限られています。実際の話、患者さん全員に対して親身に接することなどできません。全員にできるのは「親切」です。「親切」を常に意識していると遠からず近からずの距離感を保ちやすいです。
5について
これも「多体問題でで考える医療と科学」で論を述べたように「他人の体は治せない」のです。できるのはサポートだけです。「治してあげよう」と念じても疲れるだけです。治そうとするから疲れるのです。ルービックキューブは、一生懸命やれば面の色が揃うのでしょうか。解法を知らなければ、いくら汗をかいても面の色はそろいません。面を揃えられる人は、解法を知っている人です。解法さえ知っていれば、正確に手を動かすだけです。
6について
同じことを繰り返す単純作業は疲れます。適度に違うことをした方が疲れません。たとえば、どんな症状に対しても同じツボを使うと決まっていたら飽きてしまいます。同じように見えても、やる側が違うと感じていれば飽きません。作業ばかりでなく、自分の職場環境を工夫することも、飽きない工夫です。「飽きない」が「商い」の語源だと誰かが言っていました。

■体調に左右されない方法
施術の質が精神状態や体調に左右されたら一流ではないのだと思います。少なくとも患者さんに体調を悟られることがないようにしたいものです。こちらも普通の人間ですから、調子の良い悪いはあります。体調が上下するのは仕方ありませんから、その体調に左右されない施術法を持っていることが大事です。
「一球入魂」という言葉があります。私たち鍼灸師は「一鍼入魂」なんて言うこともあります。情熱や真剣さを表現するには良いのですが、言葉どおりに魂込めていたら1日持つはずがありません。終盤の患者さんを診る頃には魂が切れます。
だから、私は魂込めることはしていません。「気持ちを入れていない」のです。気持ちを入れていないから、自分の気分で施術の質が変わることはありません。ただただ正確な施術を心がけ、精神は「問題を解く」ことに集中させています。
■想うだけでは治らない
「治してあげよう」とか、そういう気持ちはありません。「想い」では治らないからです。「想う」ことよりも「どうしたらこの症状は解けるのだろうか…」と「解」を探す方がずっと大切です。
「想う」と疲れます。しかも「想い」は裏切られます。裏切られた時の精神的ショックは、手元を狂わせます。いっぽう「解が見つからない」時は悔しさを感じますが、裏切られるのと違ってショックはありません。
その悔しさは、患者さんのいない時間に使います。患者さんの前で一生懸命になるのではなく、患者さんのいないところで汗をかくようにしています。影で行う仕事の方こそ「想い」が必要です。
毎回、同じ質の施術をするようにしていますし、それができる技術が本物だと考えています。施術する側が「ラクをする」というのは、患者さんのためです。一生懸命になればなるほど、患者さんを追い込んでしまうことがあります。
今は、こんなことを言っている私ですが、駆け出しの頃は患者さんの前でがんばっていました。そして力尽き、患者さんのいない時に休んでいました。
私の考えを大きく変えたのは「活法(かっぽう)」です。「治そうと思ったら治らない」と教えられ、その意味を理解できた時から景色が変わりました。活法で変わった鍼灸師は私だけではありません。今、多くの鍼灸師に変革をもたらしています。けっして大げさではありません。

■疲れない整体(手技と考え方)
最後に告知があります。
これまで「鍼灸師のための整体術」として、活法を鍼灸師限定でお伝えしてきましたが、人数を限定して、鍼灸師の免許を持っていない方(柔整師、整体師、カイロプラクター、セラピスト…)にも学びの場を提供することにしました。
鍼灸師以外にカリキュラムを公開することは、会で慎重に話し合ってきました。現在、限定的に学べる場を設けていますので紹介します。
整体師のための活法整体塾 1日体験会 ※鍼灸師の参加はご遠慮ください。
—————————————————————-
日時 :2015年11月15日(日)
時間 :14:00~17:00
会場 :ホテルサーブ会議室(東京都目黒区)
料金 :8,000円
講師 :橋本聖樹(活法研究会代表)
参加条件:療術に仕事にしている者
定員 :10名(最少催行人数5名)
———————————————-
・活法とは何か
・活法デモンストレーション
・活法体験入門(すぐに使える3手を練習)
—————————————————————-
問い合わせ ≫ 活法研究会事務局
お申込み ≫ フォーム(「活法整体塾」を選択してください)
鍼灸師のための活法研究会 1日体験会 ※鍼灸師はこちらにお申込みください。
—————————————————————-
・10/25(日) 1日体験会(上半身編)定員15名
・11/1(日) 1日体験会(下半身編)定員15名
—————————————————————-
【投票ボタン】
続きに興味のある方は応援でクリックしてください(1日1クリック有効)。
2つのランキングサイトにエントリーしています。
![]()
【連載中のメディア】
『温故知新』(専門家向け/ツボのことを深く考えてみたい方へ)
「鍼灸師のための経穴デザイン入門(1~13)」
『ヘルモア』(一般向け/鍼灸院選びのヒントがほしい方へ)
【初めての鍼灸院選びVol.01】鍼灸でできることを知っておこう
【初めての鍼灸院選びVol.02】鍼のイロハ、灸のイロハ
【初めての鍼灸院選びVol.03】鍼灸院は専門院がおすすめ
【初めての鍼灸院選びVol.04】直感力の働かせましょう
【初めての鍼灸院選びVol.05】鍼灸院に行く前の心構え
【PR】
鍼灸師が考えたウェブサイト運営サービス『musuby(ムスビィ)』
説明会/9/27(日)東京




コメント