整動鍼があるなら整流鍼がある

古武術鍼法が整動鍼に変わった理由」のつづき

整動と整流の概念

■鍼灸が目標とするもの

整動鍼」に対する言葉は「整流鍼」です。

これは、経絡(けいらく)を主役とした鍼灸全般を指す言葉です。整動鍼の位置づけを説明するために、勝手ではありますがこう呼ばせて頂こうと思います。鍼灸を整動と整流という2つに分けて考えようという提案です。

内臓機能を整え、「ホメオスタシス(恒常性)=そのまま在ろうする働き」を整えるのが、鍼灸の目的だと考えられています。流派や学派はあっても、古典的な鍼灸の考え方は、この説明から大きくズレてはいないはずです。

従来の鍼灸の主役は内臓と言えるのです。「内臓機能を整えて、しっかり長生きしましょうね。」という思想がバックボーンにあるのです。少なくとも、鍼灸の古典には「素早く長く動き回れる体にしましょう」という目標があるように思えません。

古典が骨格や筋肉を無視してきたわけではないでしょう。ただ、鍼灸をする目的や目標をどこに設置しているかという話になると、「動きやすさ」より「長生き」なのです。病気にならないように。病気になったらどうしたらよいのか。こういう話が中心です。

これに対して、整動は「素早く長く動き回れる体」が目標になります。頚や肩が痛い、腰が痛い、膝が痛いなどなど、運動器のトラブルをいかに早く解決できるかを目指します。こうした目標を立てて行うのが整動鍼です。

運動器疾患のためにツボをどう使ったらよいのかを、ゼロベースで考え直したのが整動鍼です。だから、経絡をスタートとしていません。整動という概念の下では、経絡は整流のベースではあっても、整動のベースではありません。

■経絡(けいらく)にないもの

一般的に経絡は鍼灸学のスタートだと思われています。まず経絡を理解することが、伝統的な鍼灸を行う上で最も大切であると教育されているからです。ところが、経絡(経筋を含む)で動きを調整しようにもうまく行きません。

整流には “動きの中心”つまり“軸”という概念がないからです。

整動にはそれがあります。“動き”はすべて回転運動です。どんな動きにも“軸”があります。と考えると、“動きの調整”とは“軸”の調整と言い変えることができます。整動鍼では軸を整えるという考え方があり、その軸を整えるためにツボを利用します。

“軸”が整って“動き”が改善すると、無駄な力が抜けコリも解消します。整動鍼の考え方で肩こりを説明すると、肩が凝っているから動かないのではありません。動かない肩だから凝っているのです。だから、整動鍼では「ほぐす」という考え方をしません。コリを解消させるためには、筋肉の張力を適度にするのです。

張力とは引っ張り合う力。引っ張り合う力が等しいところが中心であり軸となります。もし、引っ張り合う力が崩れてしまうと中心までズレます。このズレが動きを乱すのです。その結果として頑張って動かなければならず、こわばります。

■呼吸が意味するもの

先日行った整動鍼「腹背編」にも整動の考え方がたっぷり入っています。しかし、整動と整流は切り離すことができません。整動を行えば整流も結果的に起こります。その反対もあります。この腹背編は整動と整流を行ったり来たりしながら、整動と整流の違いが分かるようになっています。

整動と整流の間にあるのが呼吸です。良い動きと良い流れの間には、良い呼吸があります。心臓のポンプ作用は生死を分ける意味で重要ですが、健やかに生きるためには何が一番重要か、と考えた時に呼吸ではないかと。これは私の健康観です。つまりこういうことです。

呼吸は息(イキ)です。
息は意気(イキ)です。
意気は生き(イキ)です。

つまり、整動をするにしても整流をするにしても、よい呼吸に導くことを大事しています。呼吸が整って深くなる鍼灸でなければならないと考えています。ですから、常に患者さんの呼吸に意識を置くことを大切にしています。

つづき…「二次元より三次元がいいさ、三次元より四次元がいい~。

勉強会のご案内
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整動鍼<腹背編> 定員15名(先着順)
2016年1月24日(日)~25日(月) 
活法研究会主催
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