第3話「お金では買えないものを生み出すと成功する」
正解のない金銭感覚
組織運営で避けて通れないのがお金の管理です。立ちはだかる問題は、お金の解釈は人によって違うことです。また、生まれ育った環境で金銭感覚も変わります。みんな自分が正解であるかのような顔をして話をします。
生まれながらにして、絵が上手な人や歌が上手な人がいるように、商才というものがあるのだと思います。絵も歌も下手な私は、せめて商才だけでも…と思う時があります。もちろん、鍼灸師としての才能を一番認めてもらたいです。
鍼灸には理論がありますが、決め手となるのは感覚です。経営も経営論がありつつも、やっぱり感覚が頼りになります。金銭感覚を磨くことは、鍼灸師が手の感覚を磨くのと同じように大事なのだろうと思います。私の感覚はほぼ実践で培ってきました。
これくらいの売上なら、人件費はこれくらいで、投資はこれくらいで、内部留保はこれくらいできるなぁ、と自分の中で心地よく収まる範囲があります。正解か不正解かとは別に、感覚的な心地よさがあります。何事も理屈では説明できない感覚の領域があると思います。商才に恵まれた人は、その感覚の領域に正解が生まれやすいのでしょうね。
私は常に試行錯誤の中で生きています。正解はわからないので「こうしておいた方がいい」という心の声に従っています。後から「やめておけばよかった」と思うことはありますが、勝率が5割より上なので生き延びています。
うちの会社は小さいので、私の経験と感覚が軸になります。もちろん、会計士に相談したりするなど専門家の意見には耳を傾けています。相談相手がいても、結論を出す(責任を取る)のは私です。
お金がなくて苦労した駆け出し時代があるので、もうお金で悩みたくはありません。資金がショートしないように慎重になっています。でも、使うところは使わないと事業はしぼんでしまいます。
私のお金の使い方をみて「思いきりがいい」という人と「ケチ」と言う人がいます。同じことをしているのに評価が正反対というのは興味深いことです。実際にどっちかなんて重要ではないのです。最初に書いたように、みんな金銭感覚が違うので答えなどないのですから。
コミュニティづくりに投資をする
協会設立は私にって新たな挑戦でした。私自身を成長させるためにも、会社を成長させるためにも、新しい仲間をつくるたにも、新たなステージに登るためにも必要な決断でした。
協会を立ち上げるために思い切って資金を投入しました。
「会社だけでセミナーやっていた方がラクでいいのに」と言われましたし、今でも言われています。その意味はよくわかります。自分の会社だけでやっていた方が売上を独占できます。
短期的にみれば会社単独開催の方がお得です。でも、中長期的な視点で考えたら限界がすぐにやってきます。コミュニティがなければ、セミナーはすり減って消耗していきます。受け取ってくれる人が待っていてくれるからこそ、この人たちのために頑張ろう、って思えるのです。
セミナーを続けていくためにばコミュニティが必要だと考えました。やるなら最高のコミュニティをつくりたいと思いました。セミナーの受講者がそのまま居残りたくなるような場所が理想です。情報や感情も共有し、一緒に成長していける場を思い描いています。
それまでもfacebook上に仲間が集まっていました。受講した人が集まるグループをつくって、やんわりと管理しました。協会の会員はここに集っていた人たちが中心となりました。有料化になって出て行った人もいます。有料化にした理由は、有益な新たなサービスを提供するためでした。無料FBグループのメンバーの中から、協会の運営メンバーが決まりました。2年前のことです。
彼らに期待したのは、だいたい次の5つです。
①セミナー受講者の代表であってほしい
②整動鍼の可能性を信じてほしい
③私の理解者であってほしい
④新しいアイデアを持ち込んでほしい
⑤新しい事業を立ち上げてほしい
簡単に言えば、「私を信じている限り、好きなことをやってもいいよ」という気持ちです。資金で困ることがないように、セミナーの売上の一部を永続的に提供することを約束しました。私の会社(活法ラボ)がセミナーをやり続ける限り、協会にお金がプールされていきます。こうして、会費とセミナーの売上の一部を協会の運営資金として使える体制をつくりました。
私の理想を実現するために誰かが犠牲になることがないように、次のことを守ることにしました。
①運営メンバーに金銭的なリスクを負わせない
②運営メンバーの自主性を重んじるため命令をしない
③短期で結果を求めない
協会が負債を負うことがないように、セミナーとコミュニティ運営にかかる経費はそれまで通り私の会社で持ち続けました。そして、協会独自のサービスが生まれるのを待ちました。私は私の会社を通じて整動協会のパトロンになったわけです。
解釈は人それぞれです。私は利益を分配する覚悟で立ち上げた組織ですが、「協会でセミナーをやっているのに、なぜ代表の会社にばかりお金が入るのか?」という声も出てきます。とても不本意な言われ方ですが、こうした現実を受け入れて対応していくことも私の仕事なんだと思います。
次回は、この問題を掘り下げていきます。
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