
ツボの数、鍼の数
まずはこのツイートからどうぞ。
所持品を増やすことはバカでもできる。 所持品を減らすことはバカだとできない。
— PuANDA (@shoichirosm) January 4, 2020
私にはこんなふうにストレートに言える勇気はありませんが、鍼灸の臨床において同じことを思っています。施術時に使うツボを減らすにはアタマが必要になります。鍼灸師という仕事は頭脳ワークです。
「気になるツボすべてに鍼をすればいいんじゃない?」
という人がいるかもしれないのですが、そうはいきません。バイキングで好きなだけ食べてお腹を壊すように、身体を刺激しすぎて状態を悪化させてしまいます。いかに少ないツボで身体を調整できるかが腕の見せ所です。
まさにこういう思考のことです↓
「やったほうがいいこと」と「やらなければならないこと」は分けたほうがいいと本に書いてあった。どちらもプラスになるんだけど、やらなければならないことに集中すべきだと。鍼治療も同じで、やったほうがいいツボをいくつも思い浮かべるより、やらなければならないツボを一つ選べる思考が大切。 pic.twitter.com/ZwJctfH8Tz
— 鍼灸院めぐる / はりきゅう専門 (@meguru_71) January 3, 2020
ツボと鍼の数が増えてくるとどうなってしまうのでしょうか。どんなふうになってしまうのか親しい鍼灸師が、ありがたいことに体験してくれました。ボリュームがある記事ですので、お時間のある時に開いてください。
グリーンノア鍼灸院のブログ『鍼100本打たれたらどうなるの?』
刺激にはちょうどいい質と量があります。例に挙げたように料理で考えればよいのです。鍼は、モノとしてある料理と違って、適量が「どれくらい」なのか視覚的に見えません。時間の許す限り鍼をし続ける行為は止まらないわんこそばです。
料理人が、お客さんの限られた胃袋の範囲の中で最高の体験をしてもらうと、相手の好みや体調に合わせてコース料理をつくるように、鍼灸師も工夫をします。
もし「鍼をたくさんしてもらった方が患者さんは満足する」という鍼灸師がいたら、それはフードファイターを相手にしているからです。通常は、ちょうどいいツボの数、ちょうどいい鍼の数があります。
究極の一本
理想を言えば、一つのツボ、一本の鍼で仕上げたいものです。結果的にそういう時もありますが、一本だけに制約するのは極端すぎてやりづらくなります(そのツボで効果がなかったら終わりって…厳しすぎる)。
私の考えはゆるいので「できるだけ少なく」です。指導する際には、一つの症状に3~7本くらいをおすすめしています。複数の症状があっても、10本以内におさまるようにしたいです。
ツボと鍼が増えて困るのは、刺激量の問題ばかりではありません。増えれば増えるほど、どのツボで効果が得られたのか判断できなくなります。
たとえば、鍼を100本したあと、仮に、患者さんが「良く効きました!」と言ったとして、どのツボが功を奏したのか判断のしようがありません。
次回の時も、偶然そのツボにヒットすることを期待して、100本スタイルを続けなければいけません。患者さんが100本に耐えられるファイターならばよいですが…。
私は、鍼を1本刺すたびに身体に起こる変化を確認します。鍼は一本でも必要なツボに適度な刺激を与えるなら著効が期待できます。今日もリウマチの患者さんで「背中が痛い」という方の手のツボに鍼を一本したら、「痛みがとれました」とおっしゃっていました。
胸椎の6番と小指のツボの関係を利用したからです。リウマチのように、身体の節々が炎症して痛む場合には、背骨の際(きわ)に、独特な圧痛(押すと痛みが出る所)が出ます。手のツボで胸椎6番の際(きわ)に作用させながら、炎症を抑える効果を狙いました。
鍼治療の醍醐味
このように、1つのツボにいくつかの目的を乗せることができます。それには、事前に患者さんの全体像を知っておく必要があります。刺鍼前の問診と触診が重要になります。
痛みのあるところに安全に刺鍼すれば、それはすべて鍼治療と呼べるものです。ただし、そこには限界があり、その限界を突き破るために理論があります。鍼治療の醍醐味は、患部に鍼をしなくても、ツボの効果によって遠隔からアプローチできることです。それを極めていくと、極小の刺激で症状を好転させることができます。
そもそも、ツボというものは、弱刺激で効果が長続きするところです。笑いのツボがそうでるように、みんなが同じとは限りません。相手に合わせて、その一点を探す仕事です。ここに鍼灸師という職業の面白さをやりがいがあります。
今日言いたかったのは「バカでは良い鍼治療ができない」ということです。でも、腕が良い鍼灸師ほど「鍼バカ」って呼ばれている可能性があるので注意してくださいね。そう呼ばれたい。
Twitterもやっています。
https://twitter.com/kuri_suke
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コメント
クリ助先生の例えるグリーンノア鍼灸院の鍼を立てる百本(おそらく竹村文近鍼灸師の著書である針百本に触発?感化?対抗?された?)は全くもって参考になりません。なぜなら鍼を立てる患者さんの身体の状況が違い過ぎるからです。
クリ助先生の提案する鍼は素晴らしいですし、当方も本やD VDは購入して何回も観ています。
ただ今回の例えは納得出来ません❕以上です❕
>針立酔候さん
お久しぶりです。いつも読んでくださり、ありがとうございます。DVDもご購入ありがとうございます!
ご意見ありがとうございます。コメント嬉しいです。
患者さんの身体の状態が違い過ぎるというのはわかります。違い過ぎるからこそなんですが、鍼の本数が増えるほど患者さんの身体で起こる変化が予測しづらくなることに警鐘を鳴らしたいのです。今回は納得いただけない記事になったかもしれませんが、引き続き読みに来てくださると嬉しいです。
またお気づきの点があればコメントくださいね。