技術と料金の関係は?

22日の「半信半疑」に質問が寄せられましたので、今回はそれに答えてみようと思います。

質問
同じ 私の膝の治療でも 5軒とも 全て 治療法や お金が 違うのですが これは 何故なのでしょうか。(原文のまま)

治療法が違うのは、鍼灸には流派がたくさんあるからです。今は流派というより学派と言う方が適切ではあります。大きな学術団体もあれば、サークルのような身内だけの勉強会もあります。

同じ鍼灸でも、いろいろな治療法があります。
鍼灸師によって治療法が違うのはそのためです。

どれが良くて、どれが悪いってことはなく、それぞれに特長があります。

補足しますと、鍼灸の大学や専門学校で学ぶ基礎的なことは同じです。学校によっては個性的な講師も招いていますから、卒業生がその色に染まることはあります。お恥ずかしいことに、私は専門学校に入学する前、鍼灸の学派については全く調べていませんでした。たまたま希望していた分野を学べる学校だったので胸をなで下ろせました。学校選びを間違っていたら、どうなっていたかと思うと冷や汗が出ます。

それくらい、鍼灸師にとってもどこで何を学ぶかが重要です。

習得した技術によって得意分野も決まります。腕がよいと評判の鍼灸師でも、得意分野とズレていると満足な治療を受けられない事もあります。オールラウンダーの鍼灸師もいれば、ある分野に特化した鍼灸師もいます。私はどちらかといえば前者タイプです。

料金が違うのは、料金の設定は鍼灸師の自由だからです。保険が適用される例外もありますが、自由診療がほとんどです。

料金には、技術料の他に「消耗品」「広告費」「施設管理費」なども含まれます。特に、施設管理費は鍼灸院によって大きく変わると思います。たとえば、自宅の中に治療室があれば賃料が抑えられます。反対に、銀座にかまえる鍼灸院は狭くても、それなりの額がかかっているわけです。それゆえ、田舎と都会では物価以上に料金の格差があるようです。私の鍼灸院がもし銀座にあったら、1回1万円でも全然足りないでしょうね(笑)

料金は鍼灸院の経営方針に合わせて決められています。
(高い方が技術力があるように見えるから、あえて高くする、なんていう経営方針だってアリなわけです。)

質問
効果も 同じ 先生でも 前回は良く効いたのですが 今回は殆ど 効果が 続かない場合があるのです。(原文のまま)

これは難しい問題ですね。何と答えよう…。

同じように作用しても、受ける体の感じ方が違うと効果が違って見えることもありますし、鍼灸師の施術にバラツキがある場合もあります。

私の経験の範囲では、1回目よりも2回目の施術の方が効果を感じにくいと言われることが多いです。全く同じツボ、同じ施術をしても2回目のインパクトが薄れます。それは、1回目で改善しているからです。

たとえば、最初の痛みが10あって、施術によって5になったとします。では、次の施術で5ポイント減って0になるかと言えばそうではないです。残っている症状は“しぶとい”から残っているわけですからね。10→5→2.5となれば上等です。10→5、5→2.5で比較すれば、10→5の方が効いたと感じるでしょう。

効果が続くか続かないかは、根本的な原因にどれだけ作用させられたかどうかで決まると私は考えています。一時的に良くなったけれどすぐに悪くなった、という場合、ゴルフで喩えるなら「狙った方向性は合っているけれど距離が合わなかった」みたいな感じです。プロゴルファーでも外すときは外します。バンカーが難しいように、患者さんの体調がバンカーにはまっている時もあります。

条件に関係なく、良いスコアを出せる鍼灸師が腕がよいのだと思います。
ゴルフをやってこともないくせに、ゴルフに喩えてしまいました…。

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コメント

  1. なつみかん より:

    とてもわかりやすい!
    すごーくわかりやすい説明で納得できました。
    私もマッサージや整体は、何件通ったか・・・
    そのたびに、料金の違いや効果の違いに疑問を持っていたのは事実。
    効果が持続すれば安い買い物だった、
    効果が無ければお金の無駄だった・・・
    そんなことで診療所を選んでいたような気がします。

  2. クリ助 より:

    >なつみかんさん
    「マッサージや整体は、何件通ったか・・・」というコメントからして私よりもいろいろなところをご存じだと思います。
    私も自分の鍼灸を客観的に確認するために他を回りたいと思っていますが、なかなか…。昨年末に1件、行ったきりで。
    「効果が持続すれば安い買い物」、いつもそう思っていただるようにしたいですね!

  3. 鍼灸好き-1 より:

    丁寧な そして 明快な ご説明 ありがとうございました。
    キーボートは1本打ちですので、時間がかかり お礼が遅れました。お許しください。
    送信時間を拝見しますと 本当にあれからすぐ 会社員でいうと 深夜残業してくださったのですね。
    申し訳ありませんでした。
    まるで 積年の膿みが流れさったようです。
    いえ もう少し 正確にいうと 3年前に経験した白内障の術後の 【 まるで 別世界  】 という感動に似たものを 感じました。
    今まで 治療をお願いしていた 5人 の先生方より やさしい言葉で、論理的で なにより 説得力というか 迫力が違いました。
    観ず知らずの私のような ものにまで 心を込めて ご説明いただき 心から 感謝いたします。
    お礼に 拝読した 私が 【 そうか 】 とおもった箇所を抜書きしますと
    長くなり 送信できませんので 3回に分けて送信します。

  4. 鍼灸好き-2 より:

    ※1
    鍼灸には流派がたくさんあるからです。今は流派というより学派と言う方が適切ではあります。
    ( これは :私の備忘録の記載によると たいがいの先生の説明と同じでした) が
    腕がよいと評判の鍼灸師でも、得意分野とズレていると満足な治療を受けられない事もあります。
    【 これは 西洋医学でも いろいろな専門の科がありますので 、よくわかる説明でした。  】
    この点 鍼灸師の先生は なんでも 診てくださるのですから 勉強が たいへんですね。
    ※2
    10→5→2.5となれば上等です。
    10→5、5→2.5で比較すれば、
    10→5の方が効いたと感じるでしょう。
    ( これが 一番 納得しました ) 
    そうですね。先生がたが 手を抜いて おられるためだけでなく
    人間はこういう体になっているのですね。     289

  5. 鍼灸好き-3 より:

    ※3
    効果が続くか続かないかは、根本的な原因にどれだけ作用させられたかどうかで決まる。
    ( これについては 少し 了解しにくいので 、先生の 他のカキコミ を拝読して  東洋医学というものの考え方が少し理解でき、 少し わかり かけて きました ) ご親切にありがとうございました。お近くであれば 飛んでいって 治療を受けたいと思いますが、何せ 九州の博多に住まいしておりますので 残念です。でも 今 かかっている先生方を見る眼が少し変りそうです。 そして峻別できそうです。貴重な機会を与えていただき感謝します。
    大変長くなり すみません。先生のコメントの私への感動度合いの強さ と 解釈して お許しを。

  6. クリ助 より:

    >鍼灸好きさん
    コメントの書き直し、ありがとうございます。この無料で使っているライブドアブログ、コメントが長いと送信できないのです。コメント欄に注釈があると親切なのですが…。
    うまく答えられていないところもあるかと思います。ご質問の意図と回答のポイントがズレていましたら遠慮なく再度ご質問くださいね。
    鍼灸好きさんが、ますます鍼灸好きになって、もっともっと健康になることを願っています。

  7. クリ助先生、こんにちは!お久しぶりです。
    いつもプロにとっても刺激的で、一般の方にも興味深い話題を提供してくれて、本当に頭が下がります<(_ _)>
    効果も 同じ 先生でも 前回は良く効いたのですが 今回は殆ど 効果が 続かない場合があるのです
    ブログ読者さんのこのご質問について、
    クリ助先生の数値を使ってのご解説とても分かりやすいですね!
    自分の患者さんにも、今度こう数値を表して説明したいと思いました。
    あと、このご質問について、
    私からもう一点、
    別な角度から説明させて頂いてもよろしいでしょうか?
    それは治療の過程において、
    病気の標本主従の変化
    ということがあるかと思います。

  8. てっかん 2 より:

    つづき
    一般の方に分かりやすく言えば、
    その時における病因として対処しなければならない優先順位が変わったということです。
    具体的に説明すると、
    膝痛の患者さんで、
    病因が、単独でなく、
    A、Bという二つの要素が絡んだとして、
    治療初期においてはA>Bで、
    Aに対してアプローチして治療効果をあげていても、
    一定の期間が経つとA<Bと
    処置の優先順位が変化することがよくあります。
    この変化を察知せずに、ずっとAに対してアプローチを続けていけば、治療効果は初期ほど得られないかと思います。

  9. てっかん3 より:

    つづき
    これを専門的には標本・主従の変化と言って、
    鍼灸師は常にこの変化を察知することが求められています。
    この変化を察知するには、
    やはり脈、お腹や背中などの体表上の反応の変化を読めるかにかかっているのですが、
    これは本当に難しいですね。
    早くこの診断能力を高めたいです。
    って、こんな説明はどうでしょう??
    不適切なら削除して下さい。
    ではでは、お互いに鍼灸の高みを目指していきましょう!

  10. クリ助 より:

    >てっかんさん
    親切な解説ありがとうございます。
    主従関係もわかりやすいと思います。
    おっしゃる通り、同じ症状で通っている患者さんでも、徐々に処置しなければいけない課題は変化してきますね。
    処置をするポイントが変わってくると、患者さんは「効き目が違う」と感じるでしょうね。
    いろいろな角度からの説明が大事だと思いますので、また何かお気づきの時はコメントをお願いします!

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