(テーマは不思議体験のつづき)
■活法(かっぽう)とは
最近、鍼灸師が注目し始めている活法。いったい何なのか…。
活法とは、柔術(古武術)の裏技として継承されてきた医術のことです。最近では、活法の定義もあいまいで「これが活法だ!」と一つを指していうのは難しいです。狭い意味では「蘇生法」として使われています。
ドラマや映画で気絶した人に「エィッ!」と背中に入れたら意識が戻るなんてシーンを見たことがあると思います。でも、実際にできる人はほとんどいません。このような蘇生法は活法の一部です。意味を広げると、活法は「整体術」です。指圧をはじめ、カイロプラクティック、オステオパシーなどの療法は活法が源流になっていると言われています。
西洋人が日本の武術からヒントを得て体系化させたテクニックが、日本が逆輸入しているわけです。本家本元である活法は、現在そのほとんどが姿を消してしまいました。その一部が民間に残っているだけです。
■教科書のウソ
学生時代のあん摩マッサージ指圧の教科書には、「指圧はあん摩、導引、活法を総合した経験療法として、江戸時代には民間で行われてきたが、明治時代に入り、これらの手技操作と共通するアメリカの整体術、カイロプラクティック、オステオパシー、スポンディロセラピー、などの療術が輸入されるにおよび、この施術を導引に取り入れ改良して独自の手技療法として大系化し、大正時代に指圧法として統合され、昭和30年8月にあん摩(マッサージ、指圧を含む)」として法律で認められ、次いで昭和39年6月に名称が改正されあん摩、マッサージ、指圧師として現在に至っている。」とあります。
私には、法律で認めてもらうために、「西洋のテクニックを取り入れているから大丈夫です」みたいなやりとりをこの文章から想像してしまいます。学生の時は何とも思わなかったのですが、改めて技術の成り立ちを整理してみると違和感が漂います。
日本で民間で伝承されていた高度な技術を軽視し、わざわざ西洋から技術を輸入して体系化させた、という疑いです。その西洋から輸入した技術の源流が日本の「活法」だとすれば、笑い話です。
今日はちょっと辛口です。
しかも、西洋の色で染まった技術を「東洋療法」として教育されたのですから本当に不思議です。東洋療法であるならば、その技術は東洋の言葉で説明できなければなりません(対外的に西洋医学的に説明したとしても身内に対しては)。しかし、実際は西洋の言葉に教科書は染まっています。
■民間に学ぶ
こんなことに気が付いたのも活法に出会ったからです。活法の技術は東洋医学で説明されています。東洋思想が技術に具現化されていることは、鍼灸師ならすぐにわかります。活法は東洋思想を深めるほど技術も深みを増します。
東洋思想をベースにした技術が民間で伝承されてきたことを知ったときは本当にショックでした。私が信じてきたものが、あっさり崩れたのですから。3年間、学校に通い続けて国家試験に合格すれば、免許取得者が一番と思いたくなるものです。でも、その考えは勇気をもって捨てなければなりませんでした。
こんな事をいうと、国家資格免許は無駄であるように聞こえると思います。でも、そういう考えでもありません。学校での3年間は「人の肌に触れる」仕事の基礎が間違いなく養えるわけですから。たとえば、全くゼロのところから活法を学ぶのと、3年以上の施術練習を経てから学ぶのでは、その習熟度に大きな違いが出るからです(師曰く)。
不況が後押しして、整体開業ビジネスが加熱しています。
通信教育の整体講座まであります。DVDで整体をマスターしたら奇跡です。
人に触れる技術は一朝一夕では完成しません。
そういう意味で3年間のトレーニング期間で、大きなアドバンテージが得られます。
とはいえ、アドバンテージはアドバンテージです。
そこから何かを始めなければ、国家資格免許の技術的優位はあっさり崩れてしまいます。
国家資格免許の有無を患者さんが見極めることが難しい状況下で、国家資格免許取得者にできることは、技術の差を見せつけることだけです。そのまま患者さんのメリットにもなります。
制度や規制の問題は難しいので、業界団体にお願いするとします。私のような一介の鍼灸師には、鍼灸の魅力を臨床でもって伝えることしか考えられません。臨床力を高めるヒントは民間にたくさん埋もれています。ここ1年で確信したことです。
(つづく・・・活法は脳科学)


コメント
同感です。東洋には元々良いものがあるのに一端西洋に行ってから横文字になると、流行みたいになってしまいます。鍼灸も現在一部の研究会がその方法で再度日本に鍼灸を再認識してもらうようにがんばっていますが、その頃に逆輸入された鍼灸はどういったものかはわかりません。一臨床家として、良い者を追い求め、それを伝える事をどこまでめげずに行っていくかですね。
>鉄漢さん
そうですよね、もともと東洋には良いものがありますよね。本当は、どんどん輸出しなければならないくらいです!外国から鍼灸を学びに来てもらわないと。外国人がわんさか鍼灸を学びに日本にやって来たら、日本人の認識が変わりますかね~。
めげませんよーー!!
ご無沙汰してます。
正論で非常に熱い論説ですね。
僕も西洋(アメリカ)を無条件に崇拝し、東洋特有の「宝」を軽視することに警鐘を鳴らした記事を書きましたよ。
http://ameblo.jp/kenbi-kai/entry-10271412539.html
鍼灸は我々の東洋と日本の「宝」だよね。
クリ助さんのご意見も聞かせてもらえると嬉しいです。
>北川毅さん
こちらこそご無沙汰しています。北川先生のエネルギーにいつも刺激を受けているクリ助です。東洋の「宝」の記事、読んでグッと来るものがありました!!
自分が乗っている宝船を放置して、外国船の中を物色するなんて滑稽なことがないようにしたいものです。そろそろ、カタカナ崇拝が終わりにならないと国宝も錆びてしまいます…よね。