やはり詐欺師であった

10日かかってきた電話は、間違いなく詐欺だと思います。
どんな感じだったのかレポートします。そのままだと、ちょっとアレなのでアレンジしています。

鳴った受話器には「ヒツウチ」と表示されています。通常、患者さんからかかってくる電話に非通知は少ないので、「お、非通知だな」と心の中で思いました。

電話の向こうは男性でした。

「妻がそちらに通っていたんですが…」

という言葉から切り出されました。

「そうなんですかぁ」

と答えながら、新規の患者さんの予約かと思ったのです。
すると、様子が何だか編です。

「やせなかったらお金返してくれるよな?」という電話。とても不機嫌な口調でけんが腰です。私は新規の方の問い合わせの一種だと思ったのです。

「結果はお約束できるものではありませんから、返金はしておりません。」

と私は答えました。

「そんなのおかしーじゃねぇか! どういうことだぁ?」

と返ってきました。カタギの口調ではありません。とはいえ私も説明しなければなりませんので、「結果に対してではなく、施術に対する対価として料金を頂いているのです。」と言うと、口調はさらにカタギから離れていきました。

「クーリングオフは効くよなぁ?」

これ以上は付き合いたくないと思いました。私の鍼灸院ではクーリングオフの対象になるサービスがありません。

「クーリングオフの対象ではありませんので…」

と答えると、向こうはブチギレ。これ以上話したくないと思いました。隣の部屋では患者さんが待っています。あまり長くお待たせしたくありません。

電話の相手には大変失礼なことは承知の上で、仕方なく「申し訳ありません。今立て込んでいるので失礼します。」と受話器を置きました。

昼休みに妻のクリ子に、「午前中、変な電話があってね。困ったんだよ~。」とこの電話を報告。ストレス発散という意味ありますが、電話に時々出てくれる育休中のクリ子との情報共有です。失礼な切り方をしたことは自覚していたので、「再びかかってくるかも」という思いが残っていました。

昼休みが終わろうとしていた時間です。電話が鳴りました。

出ました「ヒツウチ」の文字!

クリ子に受話器を渡しました。あの電話だったら面倒だなと思ってクリ子に任せました。頼れるクリ子。昼休みに「できるだけ休む」のは、午後に備えて必要なことです。

クリ子が、電話の向こうの人の話に耳を傾けて頷いています。少しすると、「前橋チサイの人だって。裁判をやるみたいだよ」と受話器を差し出してきました。え、結局私が話すわけですかっ?

「チサイ」なんて聞き慣れない言葉でしたが、「裁判をやるみたいだよ」というクリ子の言葉で「チサイ」が「地方裁判所」であることがわかりました。

「おおぅーー、裁判ですかー???」

ついに訴えられてしまいました。

受話器を受け取って挨拶をすると、電話の相手はとても紳士的。午前中の電話の声ではありません。30代くらいの男性でした。「前橋地方裁判所の者」と名乗り、名前はわかりません。とりあえず「チサイ」さんと呼ぶことにします。

チサイさんは、丁寧な口調で説明をはじめました。

「午前中にヤマモトさんから電話があったと思います。実は、消費者センターにおたく様のことで苦情の相談をしたらしく、裁判をすることになりました。電話を途中で切られたということで、とても感情的な様子だったと聞いております。」

「裁判」という言葉を聞くだけで、緊張感漂うものですねー。

「ヤマモトさんかどうかわからないのですが、午前に不審な電話が一本あったので、その方がヤマモトさんかもしれません。」

チサイさんは、ちょっと驚いたように、

「不審な方ですか?」

と聞き返してきたので、

「そうなんです。会ったこともない方なんですが、なぜかクレームのような電話だったんです。業務中だったので仕方なく失礼かと思ったのですが、電話を話の途中で切りました。」

「あったことないんですか? ヤマモトさんの奥様がそちらに通っていたという話ですが…。」

「ヤマモトさんという方は、当院に来院された事がありません。たぶん、よそに通院されていた方で、勘違いされてこちらに電話をかけて来たのだと思います。ヤマモトさんに、もう一度確認された方がよいのではないですか?」

この時点で、私は不思議な話だと思ってはいますが、詐欺だと思っていません。変だと思っても、騙されいる感覚はないので怖いです。

さて、チサイさんの話に戻ります。チサイさんは、続けてきました。

「裁判はどうされますか?」

「誰だか知らない、会ったことがない人と戦うんですか?それでも弁護士立てるわけですよね?」

「そうですねー、あまり事が大げさになってもいけませんから、消費者センターに解決してもらうことにしますよ。できるだけ当人同士が話し合いで解決するのがいいですから。」

と言っていることは親切なようですが、「ヤマモトさんって誰だよ?」という疑問が残ったままです。

「あのー、念のためヤマモトさんの下のお名前も教えていただえけますか?」

「申し訳ありません。下の名前は、お教えできないことになっているんです。」

「あ、そうなんですか?では、仕方ないです。そうしたら、こちらから一つお願いがあります。ヤマモトさんは、おそらく勘違いでこちらに電話をかけています。ご確認いただけないでしょうか。」

「ですが、私の方ではそういうことはできないですよ。消費者センターに確認してもらわないと…。」

「とにかく、ヤマモトさんには心当たりがないので、一度確認をお願いします。お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。」

と私が頼み込む形で電話を切りました。

実は、この時点でも詐欺未遂だったことに気がついていません。午後の開始時間が迫っていたのでそっちの方が気になっていました。鍼灸院の受付に戻ると、念のためヤマモトさんのカルテを探してみましたがありません。

これ以上は考えないことにしました。
裁判になったら、その時はその時だっ!

後からクリ子が私に言いました。

「やっぱり詐欺だよアレ。だって、金曜日の1時半は銀行業務が終わる直前だし、急いで示談金を振り込ませる手口だったんだよ」

クリ子の言葉には説得力がありました。次の言葉はさらに説得力がありました。

「そもそも、裁判所が電話してくるなんて聞いたことないよ」

確かに!

ようやく詐欺師と話していたことに私は気がつきました。

事を整理すると、実はこうだっただろう…という推測が立つようになりました。ターゲットはエステサロン。高額の契約をしていることが前提だと思います。1番目の口調の荒いお兄さんの話をもう少し聞いていれば、私は相手の手口をもう少し知れたかもしれません。相手にとっても、突然電話を切られたことは予想外だったと思います。

そして、親切を装って2番目の男性が電話をかけてきます。こちらの味方をしてくれるかのような態度で。突然、降りかかってきた身に覚えのないトラブル。少しでもやましいところがあると、心が穏やかでなくなるはずです。

1番目の男ともう少し話をしていれば、私の心はビビっていたでしょう。そして、2番目の男がもう少し上手であれば、その親切な案内にしたがってATMに急いでいたでしょう。訴状を差し止めするために。実際、何もなくても「訴えられた」という事実は作りたくないものです。「名誉が守れるなら、これくらいの額は仕方ないだろう」と思う経営者もいるのかもしれません。

おそらく、この記事を読まれている方のほとんどは、すぐに振り込め詐欺だとわかったと思います。私は、「意味不明」だと思っても詐欺だとは思っていませんでした。疑う事を知らないピュアな人間なのでしょうか(笑)

相手が下手だから助かったと思っています。2番目の男に「不審な電話」と言ったことがよかったのかもしれません。2番目の男は、その言葉に警戒し、詐欺と気がつかれないように裁判所を装ったまま撤退したのかもしれません。

念のため、裁判所の窓口が開く月曜日になって、「訴えられた場合に裁判所から電話をかけることはありますか?その時、示談をすすめられることはありますか?」と聞いてみたのです。答えは「ありません」でした。その時は文書で届くようです。

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コメント

  1. acupun2 より:

    取って置きのキーワードがあります。
    「知り合いのお巡りさんに、相談してからお返事しますので、連絡先を教えて下さいませんか?」と丁重に・・・

  2. ら人 より:

    うちのおじが弁護士(また、警察官)と言うべきでしょう。何もやましい治療をされていないなら、毅然とできると思うんです。
    うちは、非通知は絶対受け付けません。

  3. 北川 毅 より:

    悪質ですね。
    業務内容にやましいことがない限り、毅然とした態度で臨むことが必要です。
    奥様も懸命な方で良かったですね。
    無条件に相手を疑わないところから入るのが、日本人の弱点であり美徳なのかも知れません。
    このような場合に、たいていの国では、ますは「疑う」ところから入ります。
    先方のフルネームと連絡先の電話番号を確認すること、チサイ(地裁)の人間と名乗るのであれば、部署と氏名を確認することも不可欠です。
    それから。非通知でも、警察に被害届を出すことで、相手を特定できる場合もあるそうですよ。

  4. 北川 毅 より:

    悪質ですね。
    業務内容にやましいことがない限り、毅然とした態度で臨むことが必要です。
    奥様も賢明な方で良かったですね。
    無条件に相手を疑わないところから入るのが、日本人の弱点であり美徳なのかも知れません。
    このような場合に、たいていの国では、ますは「疑う」ところから入ります。
    先方のフルネームと連絡先の電話番号を確認すること、チサイ(地裁)の人間と名乗るのであれば、部署と氏名を確認することも不可欠です。
    それから。非通知でも、警察に被害届を出すことで、相手を特定できる場合もあるそうですよ。

  5. クリ助 より:

    >acupun2さん
    とっておきの言葉ありがとうございます。次に同じようなことがあったら、この言葉を思い出して、タイミングよく放ってみようと思います。

  6. クリ助 より:

    >北川 毅さん
    いや~、本当悪質でした。悪質にすぐに気がつかないところが私ですが(笑) 実際に、こういう電話をもらって自分の弱点にも気がつきました。やましいことがなくても、相手から一方的に悪者扱いされると、動揺します。自分の気がついていないところで、相手に不利益を与えてしまうことだってあるでしょうし、心あたりが全くない不審な電話であっても、記憶に間違いはないか、どこかでミスはしていないか、やはり過去を一旦振り返ってしまいます。上手な詐欺師なら、その一瞬の隙を見逃さないでしょうね。

  7. クリ助 より:

    >ら人さん
    今度はもっと早く詐欺と見抜いて、「弁護士(警察官)」作戦を繰り出そうと思います。詐欺とすぐ見抜けない私は、まず感性から磨かないとダメかもしれません。ま、騙されなかったので結果的によかったです。本当に騙されたらブログにネタにもなりませんからね(笑)

  8. ゆるせない より:

    島村啓至
    島村針灸整骨院
    北野田駅
    ビーワン大阪キリスト教会
    教会では牧師として神の奇跡的な癒しを宣言しながら、経営する鍼灸整骨院では保険適用で国から医療費を取る詐欺師

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