今回のテーマは突発性難聴と耳鳴り。

この記事を書くために、最近の症例を整理しました。症例ページが放置状態で説得力が欠けると思ったからです。最近の症例を5つアップしておきました。養気院サイトをご覧下さい(≫耳の症例)。
■入院しても聴力が戻らないとき
突発性難聴とその後遺症の耳鳴りに鍼灸はとても有効です。しかし、残念ながら鍼灸のポテンシャルを知る人は少ないのが現状です。
聴力に異変を感じたら、まず病院になると思います。聴力が著しく低下していれば「突発性難聴」と診断され、そのまま入院。そこから1~2週間はステロイドを点滴されながらの生活となります。病院によっては、高気圧酸素療法や星状神経節ブロック(SGB)が併用して行われます。
しかし、これらの治療で聴力が回復しない患者さんは少なくありません。病院での治療の見切りをつけて新たな治療法を探す患者さんも。私の鍼灸院にやってくる患者さんも、そうした人たちです。入院中にネット検索して、「突発性難聴には鍼灸がよい」という情報を見つけて、入院中もしくは退院してからすぐ予約されています。
■突発性難聴は時間との勝負
2、3年前から急速にスマートフォンが普及したので、入院中に探している人が増えたように思います。5年前までさかのぼると、発症してから1ヶ月以内に来院する方はあまりいませんでした。突発性難聴を得意とする鍼灸師にとって、これは喜ばしい状況です。
なぜなら、突発性難聴の治療は時間との勝負だからです。早ければ早いほど効果が現れます。一般的にタイムリミットは1ヶ月と言われていますが、私の経験では3ヶ月以内であれば改善する見込みがあります。時に「仕事が落ち着いてから通います」とおっしゃる方がいます。そういう方には、時間との勝負であることを説明します。それでも「仕事が…」という方はお断りしています。
冷たいとと思われるかもしれませんが、突発性難聴は治療したらいつでも治るわけではありません。1ヶ月以内であれば10回の治療で完治するかもしれません。同じ症状でも3ヶ月経ってしまうと50回やっても完治できないかもしれません。患者さんの仕事が落ち着くのを待っていることは、生きている聴力を見殺しにすることと同じです。
本来であれば、発症してから直ちに鍼灸を受ければ、すぐに回復する聴力がたくさんあるはずです。だとしても、現実は病院で入院をすすめられしばらくはステロイドです。私が患者さんに最短でお会いできるのは発症後2週間です。最初の数回は必ず集中的に行うようにしています。
■鍼灸による治療法
私の鍼灸院に訪れる患者さんは、耳の周りに鍼をされると思っています。実際は、たまに耳の近くのツボを使う程度で、手足、肩、背中のツボばかりです。
鍼をしたところは血流が改善しますから、耳の周辺に鍼をすれば、確かに効果がありそうです。そうやって成果を出している鍼灸院も実際にあります。
私は考えました。もっと効果の出る方法はないかと。効果を出すためには、もっと深く効かせる必要があります。だからと言って、鍼を深く刺したら危険です。「深く効く」というのは、鍼の深さや本数で決まりません。「効果の深さ」を決めるのは、鍼が原因に届いているかどうかです。

耳周辺のコリ固まった筋肉。なぜそうなっているのでしょう。そこに原因があるとは限りません。たとえば、椅子に腰掛けてこの記事を読んでいるなら、後ろにのけ反ってみてください。倒れまいとして腹筋は固くなります。喉も両脇の筋肉も固くなっているはずです。力を入れようと思わなくても、人間の体は必要な時に必要なだけ力が入るように出来ています。
でも、時に必要以上の力が入ったまま抜けないことが起こります。きっかけは諸々です。衝撃、疲労、栄養不足、冷えや暑さ、精神的な不安定など。過緊張が連続して蓄積すると、簡単には取れなくなってしまいます。突発性難聴を患う方は、この状態であることがほとんどです。
過緊張を生みだしている親を見つけ出すことが、深く効かせるために必要です。耳、頚、肩ばかり探していては見つかりません。ヒントになるのは、頚や肩甲骨が動く仕組みです。
種明かしをしてしまえば、私が突発性難聴や耳鳴りの患者さんにやっているのは、肩こり治療です。そこに、ちょっとだけ耳に作用するポイントを上乗せしているだけです。
■最近の症例
整理した症例の中で、もっとも最近の症例が劇的に改善したので、紹介します。
50代の女性の症例です。

これは、「オージオグラム」という聴力検査の結果です。グラフの高いところにあるほど、小さな音が聞き取れることを意味しています。グラフの左右は音の高さです。左は低い音、右は高い音です。
左側のグラフをご覧下さい。入院中の聴力です。下の方にあるのが左耳の聴力です。声や物音が聞き取れない状態にあります。上の方にあるのが右耳です。若干の落ち込みはありますが、生活に不自由のない状態です。
左耳の聴力は深刻な状況にあります。放っておけば、さらに聴力が低下することだってあります。これが鍼を受ける1週間前。これとほぼ同じ状態で退院したと思われます。残念ながら、病院での治療では改善できませんでした。
次に右側。鍼を2回受けて約1週間後の検査です。左右のグラフがほとんど同じ高さになっています。検査結果を見た医師は、「こんなふうに改善するケースは珍しい」とつぶやいたそうです。
確かに、この改善ぶりは私の経験の中でも優秀な方です。でも珍しいことはありません。ステロイド投与で回復しなかった聴力が鍼灸治療で改善する例は後を絶ちません。
頭痛、肩こり、花粉症と並び、突発性難聴と耳鳴りは、私が得意とする症状です。鍼灸師の独壇場となり得る分野だと思っています。鍼灸師でしかできないことが、ここにあるように思います。さらに研究を進めようと思っています。
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当院と同じ突発性難聴の治療を姉妹院カポスで受けることができます。
≫はりきゅうルーム カポス(東京都港区)
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コメント
ドキドキしながら読みました。鍼灸はやはりすごい!
今、鍼灸学校は夏休みですが、その分仕事がフルタイム勤務になり夜遅くの帰宅が続いています。
勉強もお灸や鍼の練習もしない毎日。
そんな中で久しぶりに読んだ今回の記事は、鍼灸を学び始めた事の正しさを改めて感じられました!
また勉強も練習もガンバります!
ありがとうございました!
>ひらかわさん
鍼灸って本当にすごいです!
このすごさがどうしたらみんなに伝わるか、毎日そんなことを考えながら過ごしているわけですよ。
勉強すればするほど、こっちが驚いてしまう成果が出ます。このブログでも何度も触れていますが、活法を学ぶことで鍼灸のポテンシャルを引き出すことが簡単にできます。
環境が整ったら、また活法の方にも遊びに来てくださいね。待っています。