病名に振り回されないことの大事

■坐骨神経痛だと言われても

「坐骨神経痛で困っている」と言われても、私は坐骨神経痛を治す気はありません。

その理由は2つあります。

1つ目の理由は、「治そう」と思うのは、治療のイメージとして適切ではないからです。これは前回の記事を読んで頂ければ納得して頂けると思います。

もう一つの理由は、病名(症状名)に振り回されないためです。患者さんが、脚が引きつれるように痛いと訴えるなら、その状態から抜け出す方法を探せばよいのです。

059177治療をする際に大事なのは、誰かがつけた病名ではなく、患者さんが悩んでいる症状です。病名そのものが解決策を示しているならまだしも、症状を大雑把に説明しているだけのものがたくさんあります。

坐骨神経痛もその一つです。人によって症状はまちまちです。他に、五十肩や頚肩腕症候群も、治療する上で重要ではありません。

肩はどう動かすと痛いのか…
頚や腕はどんなふうに辛いのか…

と具体的に症状を聞いてみて、はじめて有効な治療法が見えてきます。

最近は患者さんの自己診断も増えています。このようなやりとりが時々あります。

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患者  「坐骨神経痛なんです」
クリ助 「どの辺がどう時に痛みますか?」
患者  「だから、坐骨神経痛です」
クリ助 「では、坐骨神経痛といつどこで診断してもらいました?」
患者  「ネットで調べました」
クリ助 「なるほど・・・」
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妥当だと思うこともあれば、違っていると思うこともあります。どちらにせよ、実際の治療には関係ありません。病名ではなく、症状に合わせて施術をするからです。

「症状に対して施術をする」というと対症療法だと貶む人もいるでしょう。しかし、病名に対して施術する方がよっぽど的から外れるのです。

たとえば五十肩。「肩関節周囲炎」というのが本来の名称です。その名を見ていただければお分かりのように、「肩のあたりの炎症」とずいぶんとボヤけています。当然ながら施術もボヤけたものになってしまいます。

■線維筋痛症だと言われても

「線維筋痛症」という病名をご存じでしょうか。「全身に激しい痛みが出る病気」とされ、原因不明の病気として考えられています。この病名をつけられた患者さんを診た時の話です。

その患者さんは、激しい痛みのため歩行困難で外出は車椅子でした。私が診る中でも重症でしたが、幸いなことに私の鍼灸院に通院するたびに痛みが薄らいで、今では普通の生活を取り戻しています。もちろん、車椅子も杖も使っていません。

私は線維筋痛症の専門家ではありません。だから、なおさら平常心で施術できたところはあります。いつもどおり、患者さんが訴える痛みがどうしたら取れるのか、ただそれだけを考えて試行錯誤しただけです。

全身のあちこちにある痛みに対しても、優先順位をつけながら一つ一つ解決しただけです。特別なことは何もしていません。ただ、誤解しないでいただきたいのは、痛いところに鍼や灸をしたわけではありません。その痛みを生みだしている原因を探しだし、そこにアプローチしたから解決できたのだと思います。

もし、鎮痛目的に痛みの局所に鍼や灸をしていたら、同じ結果は得られなかったでしょう。「動き」にフォーカスしてツボ選びをした結果です。この症例でさらに確信したことは、「痛いから動けない」のではなく「動けないから痛い」という一面です。

もちろん「線維筋痛症」と言われている症状に対して、私の治療がいつも有効とは限りません。そういう症例もあったとご理解ください。

カポスのブログでは不眠症を取り上げてみました。症状に振り回されずに治療をする大切さをより多くの方に知っていただきたいと思います。

■セミナー案内

不動則痛、動則不痛」(動かないから痛い、動けば痛くない)という、活法から学んだ鎮痛理論を、より多くの鍼灸師に普及させたいと思っています。動きにフォーカスした途端に解決してしまう症状はとても多いのです。ここで紹介した線維筋痛症のように。

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活法研究会 特別セミナー(下半身編)
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定員:15名 先着順
会場:ホテルサーブ会議室(東京都目黒区)
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