
コミュニケーションの第一歩は景色を共有すること
本日、車関係の仕事をしている患者さんと雑談をしていたら、興味深い、ハッとさせられる話がありました。
自動車は自動運転技術に向けて、技術競争があちこちで繰り広げられているわけですが、その中で、「クルマとのコミュニケーション」という言葉が出てきました。どうやら他人事ではなさそうです。
クルマのディスプレイに何を映すか、という話なのですが、ドライバー(自動運転になればドライバーではなくなりますが…)の視野に入っているものを映す必要があるとのこと。
フロントガラスから見える外の景色をなぜわざわざ映し出す必要があるのか…
と思うわけです。
意味があるのです。クルマから発する「あなたと景色を私も見ています」というメッセージらしいのです。ちょっと難しく言えば、「あなたと同じ認識をしています」ということです。これはクルマの方からドライバー(搭乗者)に働きかけるコミュニケーションとして、とても大事なことらしいのです。
なぜなら、そうしないとドライバー(搭乗者)が不安になるとのこと。確かに!
自分で運転する際も、フロントガラスから前方を見ている自分を認識しているから、安心しクルマを走らせることができます。その見ているものに少しでも疑いがあれば、安心して運転できません。
誰かに運転してもらう時もそうですよね。その人が、きちんと情報を認識しているとわかっているから、運転を任せられます。「その人とコミュニケーションが取れる」ということを前提として任せられます。
鍼灸師は何を観て何をしているのか
ここから鍼灸の話です。
自動運転するクルマが何を認識しているのか、搭乗者が知りたいように、鍼灸を受ける患者さんも鍼灸師が何を認識しているのか、わからないと不安です。
これ、すべての鍼灸師に共通する課題です。鍼灸師が見ている景色を患者さんに伝えるだけで、患者さんは安心できます。ここに気が付かない鍼灸師は、いくら腕を磨いても苦労します。
整動鍼では、(患者さんの)動きを“一緒に”見ることで、患者さんの安心を誘っています。
ちなみに、何をしているのかわからなくても大丈夫な時は、相手の権威を感じている場合です。「この方は世界が認めた名医です」と、専門家が口を揃えていれば、その医師が何を見ているのか、何を考えているのか、わからなくてもよいのかもしれません。むしろ、「私などには考えもつかない上の上の事を考えているのだろう」と前向きな想像で片付けてしまいます。
話はそれますが、時々権威にあぐらをかく医師をみかけます。うちでは突発性難聴をよく観ているので、聴力検査の結果(オージオグラム)を持参するように患者さんにお願いしています。でも、もってきてもらえない時が希にあります。
信じられないことに、オージオグラム(聴力検査の結果)を渡してくれない医師がいるのです。「結果を知ってどうするんですか?」という耳を疑うような態度なのです。自分の体のことを知りたいと思うのは、当然なはずです。人は、立場や地位が保証されてしまうと、相手を不安に陥れていることに無頓着になるのかもしれません。
鍼灸師も人工知能に負ける可能性
地位や権威から縁が遠い私だからこそ、患者さんの不安に目を向けやすいとも言えます。目を向けなければ、職業として成り立たず、食べて行けません。患者さんも、そこに期待しているように思います。
不安をいかに解消できるか。いつもそこを考えるようにしています。
知ってびっくり、自動運転のクルマと発想が同じでした。
クルマも積極的に人間とコミュニケーションしようと仕掛けてきます。これからAI(人工知能)の時代に入ります。きっと、私たちの気持ちをくすぐるような働きかけをしてきます。人間として、鍼灸師として負けてはいられません。
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