「ピロリ菌にぜんそく予防効果」という見出しを発見。
悪者扱いされてきたピロリ菌。胃潰瘍は十二指腸潰瘍の原因とされ、除去は保険適用になっています。今年6月に保険適用の範囲が広がるという通知が厚生労働省から出たということです。実際、今どうなのだろう…というと詳しく知りません。
ピロリ菌のことを「百害あって一利なし」なんていう人もいるけれど、この研究成果がそうでないことを示してくれました。そもそも、ピロリ菌が100%悪いなんて思えません。ピロリ菌に感染しても、胃潰瘍にも十二指腸潰瘍にもならない人がいるからです。相関関係があるのは否定しようがありませんが、因果関係(胃潰瘍と十二指腸潰瘍の原因はピロリ菌)ではないと言えるわけです。
調べたら、「日本では40歳以上の人の7割が感染していると推計されていて…」とありました。7割の人が感染していても7割も胃潰瘍や十二指腸潰瘍になっていないはずです。
「胃潰瘍で90%、十二指腸潰瘍で100%の人がピロリ菌に感染している」という統計から話が始まると、ピロリ菌が原因のように感じます。これを述べるなら、胃潰瘍、十二指腸潰瘍に罹患していない人の何パーセントがピロリ菌に感染しているのか、も述べてほしいと思います。
ある一面だけを抜き出して、ピロリ菌が悪役に仕立てられたことになります。そういう風潮に反して、ピロリ菌の(人体にとって)有益な部分を探そうとする研究者がいたことが感動的です。
ここから鍼灸師の立場で述べます。
鍼灸の立場からも、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因がピロリ菌というのは疑問を感じます。胃や腸はデリケートで、嫌なことがあったり、プレッシャーを感じると途端に反応します。旅行中は便秘になる、試験の前に胃が痛くなる、プレゼンの前に下痢になる、などいろいろありますよね。
そういう時、胃や腸だけに反応が出ているかというとそんなことはありません。みぞおちが硬くなったり、お臍の周りが硬くなったり、背中が張ってきたりします。もっと細かく言えば、全身のツボに反応が表れます。精神的なものだけなく、他の臓腑の影響も受けます。妊娠して起こる悪阻(つわり)は、その典型だと思います。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍を治そうとするとき、胃の中だけに問題を探そうとしない、これが東洋医学です。西洋医学でも「ストレスが原因ですね」とはいうものの、そのストレスが体にどう影響しているのか触診で確認したりしません(興味がないのかな…)。患者さんが訴える症状は、自覚できる反応の一つでしかありません。
もう一度書きます。胃の痛みは「自覚できる反応」の一つでしかありません。本人は自覚できていないけれど、重要な反応というが実際にはたくさんあります。訴えが出る段階は、そこそこ進んでいる状態です。胃腸に関係する反応点に目配りしていれば、胃腸のトラブルを未然に防ぐことができます(もちろん、全てとは言えませんが)。
話はそれますが、
商売として考えると、「予防」はお金になりません。苦しくなっていないことに、お金を払う人は少ないですからね。ドクターを主人公にしたドラマが、続々と放送されていますが、予防医学のカリスマはまだ登場していないのではないでしょうか。
やはり、生死の境を描く方が人は感動する、というわけでしょうか…。
皮肉を込めて書けば、それが、お金になるテーマなのだと思います。
鍼灸師は生死の境に携わることが少ない医療人です。だからといって、そこに感動がないわけではありません。生きるか死ぬかに関係なくても、耳鳴りが治ることは感動ものです。その後の人生が変わります。
話を元に戻しますが、ピロリ菌が、ぜんそく、花粉症、アトピー性皮膚炎に役立てば一発逆転。とても気持ちいいことです。こういう話には興奮します。
ぜんそく、花粉症、アトピー性皮膚炎、これも鍼灸が得意とする分野。
ピロリ菌と勝負になるかなぁ~。


コメント
こんばんは^^
去年の伝統鍼灸学会で、細かな文言は忘れましたが、某大先生が面白いことを言われていました。
病気は複数の条件が揃ったときに発病する。だから、我々治療家は揃ってしまった条件のうち一つでも外すことを目標とすればよい。
胃・十二指腸潰瘍でいえば、ピロリ菌、先天的胃の弱さ、ストレスのキャパシティ、本人を取り巻くトレスの量、本人が受け取るストレスの量、日ごろのストレス解消量などなど、
絶対に外せない条件などもありますが、この二つが揃うと危険というものもあると思います。
まぁしかし、基本的にはストレスの影響力が強いわけですから、思い悩みすぎて脾を傷るんでしょうね。鍼で思い悩みすぎるという体質を変えてしまうか、仕事を変えるか、ストレス解消法を増やすか、なんでも治療になりますね。
>sanoさん
「複数の条件…」というのは、まったくその通りだと私も思うところです。交通事故にしても、スピード違反や信号無視は危険なわけですが、それそのものが危険と言われるのは、その違反に何かが重なったとき事故が起こるからですよね(もし誰もいない広い道路が仮にあるならば危険なことにならない)。
話はそれるかもしれませんが、生きるって、サーキットではなく公道に近い気がします。予想外なことがいろいろ起こります。研究者は、サーキットで試験走行をする人、私たち鍼灸師はそれに対して公道で安全な走り方を研究する人なのかもしれないと思います。そのアプローチってたくさんありますし。鍼灸師によって得意分野や方法論が異なるのは、それだけ公道は条件が多いからだと考えます。