古武術鍼法が、どのようにしてツボ選びをしているのか、ということを説明しやすい症例が3つ出てきました。
■症例の紹介
次の3つの症例は、痛みの位置がとてもよく似ています。頚、肩、腕に痛みが広がっているという共通点があります。しかし、全く違うタイプの症状なのです。
この3つの症例はコリ感より痛みが問題となっている症状で、肩こりよりも難易度が高いものです。また、下手に揉んだりすると悪化することが多いタイプの症状です。ただ、五十肩ほどの炎症はないので、適切に対処すればすぐに痛みが軽減します。
症例A

症例B

症例C

この3例は、どれも最初に「どこが痛いのですか?」という質問をしています。そして、その位置に色を塗ったものです。もし、これだけ訊いて、
「そうですか、ではベットに寝てください」
と施術を開始してしまうと、とんでもないことになります。これは少し言い過ぎですが、少なくとも適切な施術は不可能です。効果があっても、それは“たまたま”です。
前回の記事(古武術鍼法とは何か)に、「使用するツボは、痛む位置と苦手な(できない)動作の2つの要素で決まる」と書きました。この3つの症例は、それがどういう意味なのかを示してくれるよい例です。それぞれ「どんな動きが嫌ですか?」と丁寧に尋ねてから施術をしてます。
このように、位置と動作から原因を割り出す手法は、肩や腕の痛みがなかなか治らなず悩んでいる人に役立つと信じています。
■症例の解説
それでは、症例の要点を書いていきます。ツボも記しますが、独自の表記で一般的なものではありません。このブログではツボの細かいところまで説明はできませんから、ツボ情報はオマケ程度に思ってください。数カ所のツボを使い、1回の施術で症状のほとんどが取れました。記したツボが使ったツボの全てです。これらの症例のように原因が特定できれば少数のツボで大きな成果を出すことが可能です。
症例A

【特徴】頚から肩が凝ったような感覚があり、引き伸ばすとシャープな痛みが走る。痛む位置は指で正確に指し示すことができる。
【困難な動作】頭を左前に倒す(患部を引き伸ばす方向)
【原因】右肩甲骨(が動かない)
【ツボ】T4(3)R T7(3)R 孔最R
症例B

【特徴】腕を使うと突然痛みが三角筋辺りに走る。安静にしていると痛みを感じない。どこが一番痛いのか位置を特定できない。
【困難な動作】肩の外旋(外ひねり)
【原因】胸椎(が動かない)
【ツボ】T3(1)R T7(1) 外谷R 懸鐘R 孔最R
症例C

【特徴】前面(胸側)の方が痛みが強く、じっとしていても痛む。
【困難な動作】全般
【原因】右鎖骨(が動かない)
【ツボ】天宗R 気戸R T5(1)L
A~Cは治療に使ったツボが異なります。原因が異なるからです。ここでいう原因とは、動きが止まっているところです。どこかの動きが止まっていると、動作時のバランスがうまく保持できなくなり、バランスを崩したくない身体は動くのをためらいます。そのためらいの蓄積が痛みになっていくと考えています。
人の身体は絶妙な調和で動いているわけで、どこか1点でも動きが悪くなると動きの調和が乱れてしまうのです。動きにノイズが入るようなイメージです。ノイズを聞き続けたらストレスがたまってイライラするように、身体もだんだんストレスを溜めてしまいます。そのストレスが限界に達すると痛みというメッセージを発するのです。
■よい鍼灸の条件
上手な鍼灸は、ストーリーを描ける鍼灸だと思っています。相手は人間ですから「やってみなければわららない」というのが本当のところです。わからない中でわかる部分を抽出してどこまでストーリーを組み立てられるかの勝負です。
本日の症例は、品川カポスで詳しいものをご覧いただけます。肩こりの症例をご覧下さい。私たちは、症例から学ぶという姿勢で仕事に臨んでいます。
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・鍼灸養気院(群馬県伊勢崎市)
・鍼灸ルーム品川カポス(東京都港区)
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