鍼灸師のウェブ進化論(9)-鍼灸師の値段

鍼灸師のウェブ進化論(8)-ウェブで逆転のつづき  ☆はじめから読む→予告編
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パズルを解くのは論理と経験だ国家資格である鍼灸師がなぜ“負の財産”になるのか?

その説明は、一度「負の財産」に書いたのですが、その理由が大雑把すぎました。ここで改めて説明してみようと思います。

私が負の財産だと気がついたのは、国家資格を取得した後でした。

最初にショックを受けたのは、「鍼灸師」が国家資格だと知っている人が周りにほとんどいなかったということです。正確には「はり師」「きゅう師」という2種類の国家資格を持っています。私は、それに加えて「あん摩マッサージ指圧師」という資格も持っています。これも国家資格です。

鍼灸師、整体師は高い確率で混同されます。
(いわゆる「整体師」は民間資格で国家資格ではありません。)

社会に出ると、国家資格であるというアドバンデージは全くなく、ディスアドバンデージの方が目立ちました(卑屈になっているわけではないのですが…)。

鍼灸師が持っているアドバンテージは、鍼とお灸ができるということだけです。もし、鍼とお灸にこだわりがなく、国家資格のステイタスがほしいなら別のところにお金と労力を注ぐべきだと思います。

鍼灸師が抱える負の財産をまとめます。

1.国家資格であることが知られていない
整体やリフレクソロジーなどの民間資格と扱いは同じ。低い場合もあります。
たとえば、群馬県のポータルサイト=ガムの例です。

理美容・健康の業種に鍼灸は含まれていません(画面右側に「業種を絞る!」という選択肢があります)。整体はちゃんとあります。鍼灸師は医療系の国家資格だから「病院」のカテゴリにあるかと思って期待して探してもありません…。

このポータルサイトにおいては、鍼灸師と整体師のステイタスは整体師の方が上です(卑屈な見方?)。

2.資格取得にお金と労力がかかる
鍼灸師になるためには、時間とお金がかかります。3年間の時間と数百万円を投資する必要があります。

たとえば、年収が300万円の人が資格を取ることを考えましょう。
まず、年収すべてを学費につぎ込む必要があります。1年間は学費のためだけに働くことになります。

この時点で、-300万円

入学後後3年間は働けなくなり年収を失うため、働き続けた場合から見れば、ー900万円。学業の傍ら、アルバイトで年間100万円を稼ぐなら、+300万円。差し引きすると、ー600万円

合わせてー900万円
これが鍼灸師の資格のお値段です。
(計算はアバウトですが、考え方としては妥当だと思います。)

同じ会社で同じ給料で働いていた人に、鍼灸師になる間に900万円の経済的な差をつけられてしまいます。同僚が出世していたらなおさらですね(笑)

その差ってこれくらいでしょうか?
http://www.mercedes-benz.co.jp/passenger/car_lineup/e-class/index.html?link_id=004

※忘れてはいけないのが、国家試験があるということです。学校に通っているだけでは資格が得られません。

3.資格取得に労力とお金を費やしている間、民間資格の施術者は、独立に必要なスキルをアップのために投資できる。

私の学生時代は、鍼灸の勉強、実技練習、アルバイトで独立に必要なスキルを身につける余裕なんてありませんでした。国家試験に合格しなければというプレッシャーもありましたし。

資格取得後に気がついたことですが、民間資格の施術者は、経営者としてのスキルを身につけるために投資をしています。本を買ったり、セミナーに行ったり、勉強をしたり…。民間資格の場合は、資格取得のために必要な時間もお金も節約できます。その節約できたものを経営に投資できます。

5.国家資格の鍼灸師は、保健所の監視下におかれ、厳しい広告制限がある。一方、民間資格には広告制限がない。

この差は大きいです!
鍼灸院を開業するときには、保健所に届け出なければなりません。そして基準をクリアしているかチェックをされます。どんな施設でもよいってわけではないのです。でも、民間資格には規定はありません。

鍼灸師には厳しい広告制限があり、広告ができないのに等しいです。民間資格の施術サービスには制限がありません。「腰痛でお悩みなら…」なんて民間の広告はよく見かけますが、鍼灸師は絶対にできません。

6.鍼灸師は国家資格というプライドに自由を奪われる

一応、国家資格なので簡単にはなれません。鍼灸師の心の中には「民間資格とはグレードが違うんだぞ」という想いが少なからず生まれます。しかし、先ほども書いたように、社会が下すグレードは、民間資格と同等かそれ以下です。プライドは時に自由な発想を奪います。縛られた思考が負の財産となります。

自動車レースがあったとしましょう。

鍼灸師は、ライセンスを取ってメルセデスを購入してからサーキットに向かわなければならないのです。でも、そのレースは草レース(※)です。

私ならクルマを壊したくありませんから、無理なオーバーテイクは仕掛けません。

※草レース:誰でも参加できるレースという意味で用いました。

 … … ◇ … … ◇ … …

私の目的は「鍼灸師は負の財産を持っている」ことを書いて「鍼灸師は大変なんだ」と愚痴をこぼすことではありません。負の財産を認めて、「鍼とお灸ができる」という正の財産を運用する方法をみんなと一緒に考えることが目的です。そのために、まず鍼灸師の意識が変わらなければ始まりません。ウェブを通じて意識を変えていく、というのがこのシリーズの本当の狙いです。

これから集客の話題に移りますが、ホームページの集客テクニックを研こうというテーマではありません(小手先のことには意味がありません)。ただ、私が通ってきた道には、小手先で「集客を考える時期」があったことも事実です(自分をフォローすると集客を考えない鍼灸師なんて一人もいません)。自らがウェブでやってきたことを紹介し、私が考えているウェブの使い方を提案し、鍼灸師の未来を真面目に考えていこうと思います。

なぜかといえば、私が鍼灸で助けられたからです。鍼灸がメジャーになれば、私のように救われる人間がもっともっと増えると信じているからです。

つづき≫マイナス資金で独立

次回こそ「マイナス資金で独立」
rankingやっぱりこのブログ、卑屈な気がする…

「鍼灸師のウェブ進化論」シリーズ
鍼灸師が社会で活躍するために何が必要かという壮大なテーマに挑みます。
ウェブを通じて鍼灸師ができることを真面目に考えるシリーズです。

<こまれでの話>
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予告編
(1)負の財産
(2)錯覚
(3)技術と集客
(4)カリスマ鍼灸師の真実
(5)経験を技術にする仕組み
(6)鍼灸師の急増
(7)勝ち目のない勝負
(8)ウェブで逆転

コメント

  1. mac より:

    またまた恐ろしいくらい頷ける記事です。
    でも、負の財産を補って余りある価値が、鍼灸にはありますよね。
    実際には、鍼灸一筋50年!のようなベテラン鍼灸師でも、この世界をほんの少し見たに過ぎない位「あまりにも奥の深い鍼灸の世界」があるので、話はさらにややこしくなるわけですが・・・。

  2. クリ助 より:

    >macさん
    お疲れ様です。
    おいしいところを突いてきますね~。
    おっしゃる通り、負の財産を補って余りある価値が鍼灸にはありますよね!!
    私が心配しているのは、自分を含め、その真の価値(人類の財産)に気がつく前に負の財産に押しつぶされてしまうことです。
    負の財産を克服した先には、想像もできないくらい大きな財産を手に入れることになるのでしょうね。お金では買えない価値がある。
    その価値は個人の領域を越えていますね。大げさではなく本気でそう思っています。信じられなければ鍼灸師はやっていられないかも…。

  3. なつみかん より:

    なるほど・・・って思いながら何度も読んでしまいました。
    私自身も、鍼灸と整体は同じとずーっと信じてましたから。
    でも、内容も資格もまったく違う。
    鍼灸ってこういうものなんだよ!って情報がもっと世間に広がっていくといいですね。
    私も正直な話、栄養士になったばかりのころは
    こんな仕事がしたいんじゃなかった・・・と後悔した時期がありました。でも、そこを抜けると、栄養士の仕事の価値っていうか、楽しさがわかるんですよね。

  4. クリ助 より:

    最近はホームページをよく読まれてから、予約をされる方が多いのですが、開業間もない頃、「整体はできますか?」という電話が多かったです。
    「整体はできませんが…鍼灸で体のバランスは整えることはできます。」なんて答えていた時期もありますが、お一人も、鍼灸を望む方はいらっしゃいませんでした。マッサージをやらない鍼灸院であることがわかると、受話器を置かれました。
    今は「整体できますか?」と聞かれると、すぐに「申し訳ありません、マッサージはやっていないのです。」と丁寧に断ることにしています。

  5. 芳賀繁 より:

    48歳で鍼灸師免許を取りましたが、就職先がなく日々暗くなっていますが、鍼灸師
    としての道を貫くのは立派と感じました、
    鍼でほぐすことが出来ることをわたしも微力ながら広めたいと思いますし、未病地を直せるのが魅力だとおもいます。

  6. クリ助 より:

    >芳賀繁さん
    コメントありがとうございます。就職先をお探しなのですね。このブログがヒントになれば幸いです。
    一緒に鍼灸の魅力を社会にアピールしていきましょう!!

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